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2008年05月14日(水) 18時19分

【法廷ライブ】総連事件初公判(7)「確実にカネ出す」「琴線に触れた」 “詐欺のヤマ場”再現する検察産経新聞

 《検察側の冒頭陳述読み上げは、緒方重威被告、満井忠男被告、河江浩司被告が、朝鮮総連の土地・建物を詐取したとされる状況に移った。「犯行」のヤマ場だが、1メートルほど離れて座る緒方、満井両被告に動きはない》
 《検察側はまず、河江被告が、総連側の代理人である土屋公献・元日本弁護士連合会会長に送信する「報告書」の内容について、緒方被告が指示した様子に触れる。航空ベンチャー会社社長が土地・建物の買い取り資金を出してくれそうだ−と嘘の内容にするための行為だという》
 検察官「航空ベンチャー会社社長は出資を断っているにもかかわらず、河江被告は緒方被告の指示通りに、『来週中に(すでに話を持ちかけている)同志の意見を確認し、確定的な話をもらうことになる』との文面に修正した」
 「さらに河江被告は、緒方被告から『最後の部分に、今から言う通りの文章を入れてもらえるかな』と言われ、報告書に『最終的な売買期日の確定は、次回打ち合わせにて行えるものとの確信を得た』という文章を書き加えた」
 《いずれも平成19年5月26日のことだ。さらに緒方被告は同月下旬ごろ、土屋弁護士に「航空ベンチャー会社社長は確実にお金を出してくれますから、総連のほうで独自に買い手を探したりはしないで下さい」と嘘を言ったという》
 《さらに検察側は、売買代金の支払時期について、所有権移転登記が完了した後にするため、緒方被告が同月31日に総連側に話した内容を明らかにした。次のような言葉だ》
 「航空ベンチャー会社社長の方で資金の準備はもうすぐ終わるので、35億円をお支払いできます。ただ、売買契約の内容は先に所有権移転登記して、それが済んだのを買い主が確認できてから売買代金を支払うという形にしてもらいたい。先に登記を移して、それを金主が登記簿を見て確認してから代金を支払うというのが絶対条件です」
 「私も直接、航空ベンチャー会社社長に会って確かめました。ゼニカネの問題ではないとおっしゃっているんです。その言葉が琴線に触れました。大丈夫です」
 《検察側は、こうした言葉を信用した総連側が契約に納得し、土地・建物の登記が移されたと指摘。読み上げの検察官が交代し、その後、代金が支払われないことに焦る総連側の様子を述べた》
 検察官「6月11日になっても代金が支払われなかったことから、総連側が緒方被告に確認したところ、緒方被告は『航空ベンチャー会社社長は腰が引けたのかもしれない』『実は今夜、新しい人物にも会う。金主になってくれるかも』などと言い訳に終始した」
 「これに対して総連側は『そもそも今回の売買は、満井自身の資金で買うという話で始まった。それを信じて買い取りをお願いしたのに、話が変わって納得いかない』などと抗議。緒方被告は『金の方を何とか努力する』と謝罪するだけだった」
 《緒方被告は視線を前にやったまま微動だにせず、満井被告は小首をかしげた姿勢で目を閉じている》
 検察官「総連側は緒方被告から『売買がマスコミで出て騒ぎになったら、航空ベンチャー会社社長は出資したくないと言い出すかもしれない』と言われたため、代金支払いが受けられなくなる事態に備えて所有権登記の名義を戻す準備を始めた」
 《続けて検察官は、満井被告が総連から受け取った資金の一部を返還したことや、緒方被告らが口裏合わせをしようとしたこと、総連が実際に登記を戻したこと、総連資金の分配状況などについて、早口で読み上げた》
 《予定より時間が押しており、裁判長が「そろそろ…」と促す。検察官は「あと5分ほど下さい」と答えた。相変わらず緒方、満井両被告の内心はうかがい知しれない》

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