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2008年05月12日(月) 06時02分

取調室で火だるま!愛知県警大失態、灯油まみれ男に喫煙許可スポーツ報知

 名古屋市熱田区の愛知県警熱田署内で11日未明、路上で灯油をかぶったとして事情聴取されていた無職・久保田一二三さん(45)の衣服に火が付き、火だるまになった。久保田さんは全身やけどで病院に運ばれたが死亡した。炎上する直前、禁煙のはずの取調室で男性が「たばこを吸わせろ」と言ったため、署員が吸わせようとして引火した。着替えもさせず、灯油まみれの者に喫煙させた失態に、同署は「不適切」とコメント。誰がたばこに火を付けたかなど、詳しく調べている。

 熱田署の刑事取調室で“炎上死亡事故”が起きた。事情聴取されていたのは、路上で灯油をかぶり保護された久保田一二三さん。11日午前零時15分ごろ、飲酒検査を終えた直後、床に座った久保田さんのズボンの右ひざ付近に火が付いているのを署員が発見。久保田さんが立ち上がると、火は一気に広がり、火だるま状態になった。

 署員があわてて消火器やタオルなどで消し止めたが、久保田さんは全身やけどで病院に。午後9時26分、広範囲熱傷のため死亡した。消火作業で巡査部長(54)が手の甲に軽いやけどを負った。室内には吸い殻が残っていた。

 同署によると、10日午後8時40分ごろ、久保田さんと口論した同居の女性(59)から「久保田さんが暴れている」と110番。署員が駆け付けると、酔っていた久保田さんが路上でポリタンクの灯油約5リットルをかぶり、ライターで着火するしぐさをしたため、同10時半ごろライターを取り上げて保護した。

 午後11時過ぎに署に到着。衣服に灯油がたっぷり染み込んでいたにもかかわらず、署の喫煙所で1度たばこを吸わせた。その後、取調室で事情聴取。久保田さんは着替えに応じず、規定の飲酒検査を受ける条件として再度たばこを求めた。そのため、署員が喫煙を許可。灯油のにおいが充満した3畳ほどの取調室に、たばこや灰皿、ライターを机の上に置いたという。

 同署はライターで誰が火を付けたかなど、当時取調室にいた署員3人から事情を聞いている。引火した理由ははっきりしていない。監視の署員はいたが、床に座っていた久保田さんが机で一部隠れたため、気付くのが一瞬遅れたとしている。

 署内は2か所の喫煙所以外は禁煙。久保田さんのように逮捕でない場合は、聴取中に喫煙を許可することはあるという。とんだ失態に、近藤道晴副署長は「詳しい状況は捜査中だが、不適切だった。原因を明らかにして再発防止に努めたい」としている。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080512-OHT1T00060.htm