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2008年05月11日(日) 00時02分

深夜に「思い出」の場所へ? 深まる謎 舞鶴・高1殺害事件サンスポ

 15歳の少女は深夜に自宅を出て、どこへ向かっていたのか。京都府舞鶴市の府立東舞鶴高校1年、小杉美穂さん(15)が殺害された事件は、小杉さんの足取りの解明が捜査の焦点になっている。自宅に自転車を残し、徒歩で約2キロ離れた薬局に着いたのは確認できたが、遺体発見現場までの残り5キロの足取りは依然分かっていない。何者かに車などで連れて行かれたのか、それとも自分の意思で「思い出」の場所に向かったのか−。懸命な捜査が続く。

 「いまドラッグストアの前やけど、1人で散歩してんねん」。事件当日の7日午前0時50分ごろ、小杉さんは友人との携帯電話の会話の中で、自宅から約2キロ離れた国道沿いの薬局にいると伝えたのを最後に行方が途絶えた。

 舞鶴署捜査本部によると、小杉さんは6日午後11時半ごろ、自宅前で携帯電話をいじっているのが近所の住民に目撃され、同11時57分には自宅から約500メートル西のガソリンスタンドの防犯カメラに、小杉さんとみられる女性が1人で西へ歩く姿が写っていた。

 また7日午前2時半ごろには、遺体発見現場から約400メートル東の団地の住民が若い男女の話し声を聞いていた。小杉さんの死亡推定日時は7日未明で、現場までの距離を考えれば、話し声の主が小杉さんだった可能性は高い。

 しかも、このときの会話に緊迫したような様子はなく、小杉さんが薬局から現場までの間に顔見知りの男性と合流し、団地近くで会話していたとみられる。

 ただスタンドから薬局までの約1・5キロを歩くのに1時間近くかかっているのは不自然だ。ある捜査員は「薬局に到着後、だれかと待ち合わせをしている間に友人と電話した可能性もある」と推測する。

 住民が話し声を聞いた団地は、小杉さんが6年前まで住んでおり、土地勘があったとされる。事件直前の5月4日午後3時ごろにも、若い男と一緒に小杉さんとみられる女性が団地の階段を上がっているのが目撃されている。

 同級生らによると、団地周辺に小杉さんのバンド仲間が住んでいたり、好意を寄せる少年も以前住んでいたという。

 親友だった女子生徒(15)は「彼女にとってここは楽しい時期を過ごした場所であり、思い出の場所だったのでは。不安定になった自分の気持ちを落ち着かせる唯一の場所だったのかもしれない」と話す。

 ただ小杉さんは小学6年の秋ごろから不登校がちで、中学時代の出席日数は半分程度。高校進学後は5月2日に1度登校しただけで、交友関係は広くなかった。現場や遺体の状況などから通り魔や性的目的の犯行とは考えにくく、捜査本部は交友関係のトラブルが背景にあったとみており、慎重に捜査している。


http://www.sanspo.com/sokuho/080510/sokuho090.html