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2008年04月28日(月) 08時01分

衆院山口補選 民主勢い「民意得た」 医療、ガソリン…問責先送り、追及優先産経新聞

 民主党は結党10年にあたる27日、衆院山口2区補選に勝利し、小沢一郎代表の求心力が増しそうだ。同党は、「一騎打ちに勝った。民意は圧倒的にわが方に期待している。自民党政権の終わりの始まりの選挙(結果)だ」(山岡賢次国対委員長)と勢いづいている。揮発油(ガソリン)税の暫定税率と道路特定財源の一般財源化をめぐる主張や、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)廃止の方針に世論の理解が得られたとして、福田政権への対決姿勢を強めていく方針だ。(榊原智)

 民主党は28日午後の幹部会で、福田康夫首相への問責決議案の扱いに関し、与党が30日に予定する暫定税率復活のための歳入関連法案再議決の直後に出すことは見送る。補選に勝利したが、民主党は問責決議案提出のタイミングを決めきれておらず、当面は国会での政府・与党の追及を優先する構えだ。

 民主党の鼻息は荒い。同党の山岡国対委員長は27日夜、記者団に「政府・与党は結果を真摯(しんし)に受け止め、後期高齢者医療制度を直ちにやめるべきだ。30日に衆院再議決して、ガソリンを値上げすることも国民の意志はノーなので撤回すべきだ」と強調した。

 鳩山由紀夫幹事長は27日夜の記者会見で「小沢政権誕生に大きく近づいた」と胸を張った。また、「選択肢の幅が広がった。国会で後期高齢者医療制度、年金記録、道路の3点セットを追及し、最良のタイミングでの問責提出を視野に行動する」と語った。

 鳩山氏の発言の背景には、すぐに首相問責を出さなくても「補選に勝っているから弱腰とは見られない」(幹部)との読みがある。5月12日以降に可能となる道路整備特別措置法案の衆院再議決の後や、民主党が参院へ提出を検討中の後期高齢者医療制度廃止法案の行方を見極めたうえで判断する方針だ。

 民主党幹部は「問責を可決すれば1カ月は審議に出ないこともありえる」とするが、党内には長期の審議拒否で世論の批判を浴びることへの躊躇(ちゅうちょ)もある。最終的には問責決議案を出すが、補選勝利の勢いのある間は国会で政権批判を続けるのが得策と判断した。

 小沢氏も10日夜、都内の日本料理店で鳩山氏と会談し、「問責のタイミングは30日だけじゃない」と述べ、補選に勝てば国会論戦を通じ政府・与党を徹底攻撃する考えを示していた。

 民主党は選挙結果を「年金から保険料を天引きする後期高齢者医療制度への有権者の反発が予想以上に強かった」(幹部)と分析、後期高齢者医療制度の問題でも追い打ちをかけたい考えだ。

                  ◇

 ■衆院の党派別勢力

 衆院山口2区補選の結果を受けた衆院の党派別勢力分野は次の通り。(無所属には正副議長を含む)

 自民党304▽民主党・無所属クラブ114▽公明党31▽共産党9▽社民党・市民連合7▽国民新党・そうぞう・無所属の会6▽無所属9

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