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2008年04月25日(金) 18時42分

石原都知事、聖火リレー酷評「こっけいな話。何のためにやるんだ」産経新聞

 石原慎太郎都知事は25日の定例会見で、長野市で26日に行われる聖火リレーを、厳重な警戒で市民が近寄ってみられない可能性が高いことについて「こっけいな話。何のためにやるんだ。ただの形式なんじゃないか」などと酷評した。会見の詳細は以下の通り。

          ◇

 −−先日の首都圏8都県市のサミットで7月7日の一斉消灯の話が出たが、知事は「ああいうものはナンセンス」と言っていた。どういう意味か
 「ナンセンスというよりもセンチメントでね、1回やってそれっきりという、ああいう運動というのは継続性がなかったらしようがないんですからね。やってしまってそれで終わりということじゃないしね。戦争中はね、自分の身を守るためにみんな真っ暗にして灯火管制やったんだから。自分の存在にかかわってくることだからね、そのね、そういうなんていうのかな、まあ、いろいろありますよね、みどりの日とか、海の日とかなんとか。そんなもので海が象徴されきるものでもないしね。私はだから、非常にちゃちな発想で、本質的なものにつながらないと思います」

 −−都としては7月7日の一斉消灯はやるのか
 「さあ、これから合議しましょう。そういうものですぐ条例でですね、たとえば都が先んじて、11時以降はネオンサインを消すとかね。あの、デパートも今のように夜8時、9時まで就業しないとかね。そういったものを規制しようと思っていますから。やることが大事なんじゃないですか。7月7日に全部電気消して済むって問題じゃないからね」

 −−7月7日の一斉消灯をやるかどうか決めていないということか
 「決めてません」

 −−北京五輪の聖火リレーが明日から長野で始まり、混乱が予想されるがどう思うか
 「こういうね、オリンピックに限らずに、国際的な大きなイベント、行事というのは必ず政治性を持つんですよ。でね、聖火リレーをやり出したのはヒトラーだそうだけれどもね、まあ、あの、こういったイベントをきっかけにですね、チベットというのは非常に不遇なね、残酷なね、非人間的な存在というものがクローズアップされたのはいいことじゃないですか? それみんな知らん顔していたんだから。あまりに遠すぎる国だからね。これがね、この機会にクローズアップされたというのは私、やっぱり、人間社会の希求だと思いますから。リレーにとっては混乱が起こって好ましくないかもしれないけれども、人間のこれからの世界の展開にはいいことだと私は思いますね。誰も今までチベットのことを知って知らぬふりをしてきたわけでしょう」

 −−長野で行われる聖火リレーの出発式に一般の人が入れないなど、市民にとって距離感のある聖火リレーになりそうだが
 「なんか、こっけいな話だよね。何のためにやるんだ。ただの形式なんじゃないですか。こういったものは本当は和気藹々(あいあい)やるべきものがだね、ガードされてだね、市民も立ち会えずにだね、なんか遠くで火が走っているのを見たってなんの感興もわかないでしょう」

 −−3期目に就任して今週で1年ですが、振り返っての感想は
 「まあ、人間の世の中というのは毀誉褒貶(きよほうへん)あるでしょうし、起伏もあるでしょうしね。まさかという坂もあるし、上り坂も下り坂もありましたね。それなりに私はですね、自分が果たすべき責任をこれからも果たしていきたいと思っております。まさに『東京から日本を変える』という最初の意志は変わっておりません」

 −−世間の逆風にさらされるということがこれまでなかったと思いますが
 「そんなことないよ、年中あったよ(記者団から笑い)。ただやっぱりさ、公平ななんていうか、報道をしてもらいたいね。どこの雑誌とは言わないけれども、訳の分からない1兆3000億円のバラマキだと言ったりね、都市工学も分からないでね、じゃ、反論させる機会があるかといえばね、『AERA』の編集長に聞きたいけれどもね、あなたの書いたデタラメの記事に反論したいんだけどもね、載せてくれますかね。そういうね、開かれたメディアじゃないとダメだと思います。それからやっぱりNHKの『クローズアップ現代』だってね、そりゃマイナスの要因ばかり眺めれば、あれは一種のモンタージュだからね。そうするとやっぱり心情的な印象というのが強くなっちゃうでしょう。そういう形で物を編集したってね、私は決して公正な報道にはならないと思う」

 「それからね、非常に皮肉な話だが、この間、日暮里・舎人線が開通しましたね。非常にみんな喜んでいる。乗客も増えてね。その時の最高責任者が、『いやー、石原さん覚えてますか。あなたが「地下鉄にしたら金がかかりすぎるぞ。高架にしたらいいんじゃないか、ゆりかもめのように」と言って高架にしました。おかげで工費が非常に安く済みました、もうかる可能性も増えました』。いくら安くなったんだって言ったら、400億だって。皮肉だね。400億に、私は十分関係あるよ。こんな話は全然、出てこないんだよ。別にそれで物事相殺してくれと言いませんよ。しかしみんなでいろいろな工夫をして努力をして失敗することもあるし、成功することもある。その辺のバランスをとった報道をしてもらいたいね」

 −−昨今、硫化水素による自殺が騒動になることが多いが、どう思うか
 「硫化水素って死にやすいんですか?」

 −−高濃度になれば
 「におうんでしょう? 卵の腐ったような。私はよくわかりませんな。なんでそういうものを選ぶのか。この間もNHKで言っていたけれどもね、とにかく自殺をさせないようなことを対処させなきゃいけないと言っていたけれども、そんなもの行政でできるの? ああいう空々しいことを言わない方がいいよ。メディアがね」

 −−三宅島空港があす再開だが、村の再興には国や都の抜本的な対策が必要と村長が言っていたが
 「それはまったく村長の言う通りでね、だから国には離島振興法という法律があって、ある意味では過剰な面倒を見ているわけですよ。やっぱり今日、過疎になって下手をすると消滅しかねないような集落があちこちにあるけれど、それに比べれば三宅島もそうでしょうけれど青ヶ島(八丈島の南、東京都青ヶ島村)なんてのは、学校に行ってごらんなさいよ。生徒の数くらいコンピューターがあるんだから。こんな地方なんて、日本中にないですよ。ですから三宅もね、離島というハンディキャップがあって、要するに東京から近いようで遠く、(伊豆)大島よりは遠い、温暖とはいっても八丈島よりは寒い、それから片一方では活発に活動している火山がある、20年弱おきに噴火するというハンディキャップがあるわけですよ。ですからね、もともと(衆議院議員時代の)私の選挙区でもあったわけですが、そのころからこの島は大変だと思っていました」

 「それがまあああいう形で噴火をして噴火にとどまらずえんえん毒ガスを吐く。これはやっぱりこれから、相当の覚悟で手を出していかないと。ただ比較的近い距離に東京という、首都圏というヒンターランド(後背地)があるわけですよ。そこから観光客を引き出してくる、そのための知恵をつけなくちゃならない。それで村長と一緒にマン島へ行って公道を使ったレースを見ました。ただマン島と違ってジグザグも多く、カーブも多くて危険なんで(公道バイクレースは)控えましたけれど。ただやっぱりある部分、公道を使ったレースを考えませんとね、もっともっとお客が集まる、牽引(けんいん)されるというふうにはならないし、飛行機だってあの程度の飛行機が往復したって、乗っていく人間の数は知れているんだから、これはなかなか難しいでしょうね。まあそれを覚悟で島民も頑張っていると思いますし」

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