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2008年04月24日(木) 02時31分

<PCI>取締役会諮らず支出 荒木容疑者に利益提供毎日新聞

 国の遺棄化学兵器処理事業を請け負う大手コンサルタント会社「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI)の特別背任事件で、元社長の荒木民生容疑者(71)が「おれに金が来るように理由を考えろ」と、経営陣に再三要求していたことが分かった。経営陣は、グループ内の人事権を握る荒木元社長の要求を受け入れ、架空取引で裏金を生み出す仕組みを考案したという。こうした方法による利益提供は、取締役会に諮られずに決められていた。

 東京地検特捜部の調べによると、グループを統括する持ち株会社のトップだった荒木元社長は、当時副社長だった森田祥太容疑者(66)と、担当事業部長だった多賀正義容疑者(62)に対し、「事業を独占受注できたのは自分のおかげだ。おれに金が来るように考えろ」「理由が付くようにやれ」と利益提供を要求。2人は別の社員らと相談し、遺棄化学兵器処理事業の外注先として、荒木元社長が社長を務めるグループ会社「パシフィックプログラムマネージメント」(PPM)を介在させる架空取引を考案した。

 資金は04年9月〜05年9月にかけて、6回にわたりPPMの口座に振り込まれたが、この資金提供は取締役会の議題にならず、会社として承認した支出にはならなかったという。ある役員は「荒木さんの言いなりだった一部の役員だけが知っていた支出。本来必要な取締役会の承認を得ていないことは、不正を認識していたからだろう」と話している。

 一方、PCIは23日、近く荒木元社長らに対して損害賠償請求する方針を明らかにした。遺棄化学兵器処理事業を巡る架空取引で生じたとされる損害約1億2000万円に加え、過去の役員報酬の返還も求めるという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080424-00000016-mai-soci