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2008年04月20日(日) 00時42分

中国外相、ガス田合意の先送り示唆朝日新聞

 来日中の楊潔(ヤン・チエ)チー中国外相は19日、東京都内で朝日新聞との会見に応じた。懸案の東シナ海のガス田の共同開発問題について「日中双方は協議を継続することで一致した。できるだけ早く、互いに利益のある解決策にたどり着けるよう努力する」と述べるにとどまり、5月6日からの胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席来日時までとの解決時期について明言を避け、合意先送りを示唆した。

 楊氏が外相就任後、日本メディアの単独取材を受けたのは初めて。

 胡主席来日時のとりまとめを検討中の日中共同声明(72年)や日中平和友好条約(78年)、日中共同宣言(98年)に続く両国関係の新たな指針となる第4の共同文書について楊氏は「最高レベルの訪問を通じて達成した共通認識を適切な形式で発表することは双方の利益だ」と語った。「もし具体的な共通認識ができれば、そのときには発表できる」と述べ、外交当局間で準備を進めていることを明らかにした。

 チベット騒乱に対しては「中国の内政問題で、他の国は干渉するべきではない」「事件は(チベット仏教最高指導者の)ダライ(・ラマ14世)集団が組織的に計画し、国内外のチベット独立勢力と相互に結託した」と語るなど従来の見解を繰り返した。聖火リレーへの妨害に対しても「独立勢力がリレーを妨害している。聖火に込められた五輪精神、平和、友情の理念はいかなる人でも阻止できない」と批判した。

 中国を批判する国際世論に対し「世界の3分の2以上の国々は、中国政府が法律に基づいてチベットの社会秩序を維持したことを支持している」と述べ、一連の批判は国際世論を代表していないとの認識を示した。

 一方、中国製冷凍ギョーザ中毒事件をめぐっては「事件の真相が明らかになる前にいかなる可能性も排除できない」と語り、捜査協力の継続、強化を訴えた。また「食の安全の長期的、かつ効果的な協力メカニズムを構築する話し合いを出来るだけ早く始めるべきだ」と述べた。(加藤千洋、塚本和人) アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/international/update/0420/TKY200804190214.html