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2008年04月14日(月) 22時45分

山口2区補選 自民、民主ともに総力戦 争点はガソリン 産経新聞

 福田康夫首相にとって初の国政選挙となる衆院山口2区補選が15日、告示される。元内閣審議官の自民新人、山本繁太郎候補(59)と、比例ブロックから選挙区復帰を目指す民主現職、平岡秀夫衆院議員(54)の事実上の一騎打ちとなる。投開票日(27日)が歳入関連法案の衆院再議決とほぼ重なるため、「ガソリン国会」の与野党対立の構図をそのまま投影し、補選の勝敗が政権の明暗を分けかねない。自民、民主両党とも有力幹部が続々と現地入りする予定だが、「天王山の戦い」を制するのは首相と民主党の小沢一郎代表のどちらか−。(加納宏幸)

 「ふるさと再生をかけた選挙だ。持てる力をすべて結集し、総力戦で臨むので必ず勝利させてほしい」

 14日午後、岩国市にある錦帯橋(きんたいきょう)に隣接するホテルで開かれた山本氏の総決起大会。自民党の古賀誠選対委員長は、有力支持団体幹部約1000人に深々と頭を下げた。各団体と太いパイプを持つ参院議員20人も集結し、必勝をアピール。同党の尾辻秀久参院議員会長は「何が何でも勝たなければならない。道路財源を死守し、地方財政を守らなければならない」と悲痛の表情で語った。

 同党は15日は伊吹文明幹事長、16日は麻生太郎前幹事長、17日は小池百合子元防衛相−と知名度の高い幹部を続々と現地に投入する予定だ。福田良彦前衆院議員(自民)の岩国市長転身に伴う一補選がこれほどの「総力戦」となったのは理由がある。

 もし自民候補が敗れれば、民主党は「ガソリン税の暫定税率復活に国民は『NO』と意思表明した」として、歳入関連法案の衆院再議決に参院に首相の問責決議案をぶつける公算が大きい。逆に自民候補が勝てば、民主党は気勢を大きくそがれることになる。どちらも「負けられない」選挙なのだ。

 3月5日に出馬表明し、知名度で劣る山本氏は徹底した組織選挙を展開。岩国周辺に地盤を持つ自民党の岸信夫参院議員が山本氏にぴったりと寄り添い、業界団体や首長、地方議員のネットワークをフル回転させ、票の掘り起こしを狙う。公明党も全面支援の構えで、14日には北側一雄幹事長が現地入りした。

 しかし、1リットル当たり約25円下がったガソリン価格の再値上げに有権者の理解を得るのは難しい。山本氏は、道路問題の争点化は避けられないと判断し、「山口2区には整備が必要な道路がまだまだある」とあえて国土交通省出身で道路族であることを強調。国と地元の「パイプ役」としての力量をアピールする戦術に切り替えた。

 一方、平岡氏は無党派票の掘り起こしを狙い、街頭演説でこう訴え続ける。

 「ガソリン価格が下がったままか、再値上げされるかを決める選挙といわれるが、それだけではない。政権交代の道筋を付けていく重要な選挙だ」

 道路特定財源の無駄遣い、年金記録問題、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)を徹底批判し、政権交代の必要性を訴える。地元への利益を訴える山本氏とは対照的な戦術といえる。

 11日に地元入りした小沢氏は「次期衆院選を占う前哨戦であり、福田政権に対する国民の審判を仰ぐ選挙だ」と意気込み、選挙終盤にも再び地元入りする構えだ。小沢氏が「不退転の決意」を示したことにより、民主党の支持母体である有力労組も意気上がっている。投開票日ギリギリまで自民、民主両党のデッドヒートは続きそうだ。

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