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2008年04月04日(金) 11時44分

硫化水素の“恐怖” 自殺、事故…被害相次ぎ2人死亡産経新聞

 複数の洗剤や入浴剤などを混ぜて有毒な硫化水素を発生させ、中毒死する自殺が相次ぐ中、大阪府枚方市の民家で4日、硫化水素の可能性のある異臭騒ぎがあり、5人が病院に運ばれ、このうち1人が死亡。山梨県甲州市の農薬工場でも、硫化水素中毒とみられる症状の従業員2人がみつかり、1人が死亡した。搬送者らの症状はいずれも重く、硫化水素の“恐怖”が改めて浮かび上がった。

 4日午前7時10分ごろ、大阪府枚方市招提南町の吉久茂さん(55)方から「2人が倒れている。異臭がする」と119番通報があった。消防隊員が駆けつけると、5人が倒れており、このうち23歳の女性が死亡、47歳の女性も意識不明の重体となっている。

 大阪府警や消防の調べでは、倒れていたのは七十代−二十代の男女。近くでは異臭がしており、消防が測定したところ、硫化水素の可能性があるという。死亡した女性と重体の女性は、目張りした風呂場に倒れており、府警は自殺を図った可能性が高いとみている。

 吉久さん方は7人家族で、吉久さんともう一人は、仕事に出掛けていたとみられる。

 一方、午前8時50分ごろ、山梨県甲州市塩山竹森の「塩山農薬玉宮工場」の硫化水素が入ったタンク内で、男性作業員2人が倒れていると消防に通報があった。2人は病院に運ばれたが、50歳の作業員が死亡、59歳の作業員が意識不明の重体。

 2人はタンク内の清掃作業中に、タンクの底付近に残っていた硫化水素とみられる気体を吸い込み中毒症状を起こしたとみられる。

 最近はインターネットのホームページ上で、硫化水素の毒性を紹介したり、「練炭自殺より、苦しまずに確実に死ねる」などの記述があるものも確認されており、今年に入ってから10人以上が硫化水素で自殺している。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080404-00000915-san-soci