記事登録
2008年03月20日(木) 00時00分

⑭ほんわかキャラ進軍だ!読売新聞

やわらか戦車の一家(C)ラレコ/ネトアニ

 戦車なのにプリンみたくやわらかいボディー。大きくてつぶらな瞳。勇ましいマーチに乗って「進撃」じゃなく、「退却」する。その名も『やわらか戦車』。ネット上にデビューしたのは2005年暮れだった。

 やわらか戦車は、情けないほど弱い。子猫にあっさりさらわれるし、指でつつかれただけで「痛い、痛い」。これが「かわいい〜☆」と若い女性たちのハートをがっちりつかんだ。

 作者は茨城県つくば市に住むラレコさん(36)。名前からして女性と思いきや、実は男性なのだ。「学園都市」の関係者でもない。村だったころからのつくばの住人。眼鏡をかけたまじめそうな青年だ。「みんなに作品をかわいがってもらうと、うれしさがこみあげてくる。毎回、その繰り返しです」。ほんわかした口調で話す。

 病院の当直事務などで生計を立てていたが、人気に火がついた時のネットの勢いはすさまじい。月1本の“連載”。1月に数十万回接続があった。ぬいぐるみに絵本、Tシャツ……と、グッズがあれよあれよという間に発売された。

 06年秋には、文化庁の「日本のメディア芸術100選」エンターテインメント部門で1位を獲得。公開から1年もたたないのに、マリオやポケモンを抑えての快挙だった。

 おいっ、村にこもってオタクしている場合ではないぞ。進軍ラッパは鳴り響く。今では月に2、3回、つくばエクスプレスに乗って上京し、関係者との会議に出たりしている。

 本名も、顔写真も、この期に及んで非公開。そんな内気な彼にもう一つ、夢のようなアニメ作りの話が飛び込んでくる。「ボクと一緒に空を飛ぼうよ」。その声はアトム。やわらか戦車と“合体”して、大空を目指すという。お話の始まり始まり〜〜

 

 ■メディア芸術100選■ 文化庁が日本を代表するアートや漫画などをインターネットでの一般投票を基に選出した。アニメーション部門『新世紀エヴァンゲリオン』、マンガ部門『スラムダンク』、アート部門は岡本太郎さんの『太陽の塔』がそれぞれ1位に輝く。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/feature/tokyo231203958795871_02/news/20080320-OYT8T00142.htm