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2008年03月14日(金) 12時01分

長岡の女子生徒出産殺人:不処分決定 調書の信ぴょう性否定−−家裁長岡支部 /新潟毎日新聞

 ◇「意識失った可能性」
 長岡市の県立高校で昨年6月、校舎のトイレで出産した男児を死なせたとして殺人の非行事実で家裁送致された、同校3年の女子生徒(18)に、新潟家裁長岡支部(北村史雄裁判長)は13日の少年審判で、「非行事実なし」とする不処分決定を下した。自白の信ぴょう性を含め犯罪事実を退けられた形だが、同校の校長は「これからの長い人生、重荷を背負い生きていくことになる。温かく見守ってほしい」と言葉少なに語った。
 「昔から子供が大好きだった」という女子生徒は、昨年7月の少年審判開始以後、身柄拘束を解かれ、在宅のまま審判を受けた。
 これまでの調べによると、女子生徒は昨年6月5日午後5時ごろ、校舎1階の女子トイレで男児を出産した際、洋式便器内に産み落とし、水を飲ませて窒息死させたとされる。県警は女子生徒を殺人容疑で逮捕。新潟地検は同7月、成人と同じ刑事裁判を受けるのが相当として、検察官送致(逆送)を求める意見書付きで家裁送致した。
 付添人を務めた弁護士らによると、女子生徒は妊娠後、出産の決意を固め、相手の男性から中絶を求められても「子供を殺すことだ」と拒んでいた。
 一方、検察側は生まれた男児を「楽しい高校生活の邪魔」「殺意をもって便器に水没させた」とする自白調書を示したが、弁護側は「邪魔になると思うのなら、中絶を拒否するのは不自然」と主張、調書の信憑(しんぴょう)性を争った。
 家裁は高校のトイレを使い検証を実施。便器の形状や水量から「嬰児(えいじ)を産み落としても窒息死することはない」との結論を得た。逆子だったことも踏まえ、女子生徒が「意識を失うか、ぼうぜん自失の状態だった」可能性を指摘。殺人罪のほか不作為による保護責任者遺棄致死罪なども成立しないと判断した。
 女子生徒は現在、学校を休学しているが、周囲には「将来は障害を持つ子供たちの面倒を見る仕事に就きたい」と話しているという。【五十嵐和大、岡田英】

3月14日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080314-00000084-mailo-l15