厚生労働省は10日、人工透析などに使われる血液凝固阻止剤「ヘパリン」投与後にアレルギーなど重い副作用が米国で相次いだことを受け、日本国内でヘパリンを製造販売する3社が製品の自主回収を始めたと発表した。国内で健康被害の報告はないが、3社が原薬を輸入している米国メーカーの製品から副作用が出たための措置という。
回収対象は扶桑薬品工業、テルモ、大塚製薬工場の3社が製造販売する17製品。ヘパリンは豚の小腸から取った成分を精製してつくる薬で、国内約27万人の透析患者ほぼ全員が使っている。
米食品医薬品局は2月末、米バクスター社製のヘパリンの副作用報告が昨年末から急増し、21人が死亡したと発表。副作用との因果関係は不明だが、製品の一部からヘパリンに似た異物の混入が確認されたという。
当初、日本と取引のない中国メーカーの原薬が原因とみられたが、その後、米国メーカーの製品でも副作用が確認され、日本の3社が原薬を輸入していることが分かった。3社は「輸入した原薬を検査したが、異物混入はなかった」としている。
回収対象は、透析患者向けの5割強を占めるため、医療現場の混乱も懸念される。厚労省は「あくまで予防的な措置。他社の製品に替えてほしいが、無理ならば十分に患者に説明して使ってほしい」と話している。 アサヒ・コムトップへ