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2008年03月08日(土) 03時02分

融資「都の計画に沿っただけ」 新銀行東京の元最高幹部朝日新聞

 東京都が1000億円を出資し経営難に陥っている新銀行東京をめぐり、旧経営陣の責任を強調する都に対し、旧経営陣最高幹部が「都などが作った当初計画に沿った事業をしただけ」と反論している。石原慎太郎知事は再建のため400億円の追加出資案を都議会に提出しているが、責任の所在がどこにあるかも議論の焦点になりそうだ。

 石原知事は7日の定例記者会見で「常識で考えられない運営をした。6カ月もつならどんどん貸せという経営など、どういう神経でやっていたのか」と旧経営陣を批判した。これまでも(1)融資拡大路線に固執した(2)企業の財務データから融資の可否を自動的に決めるスコアリングモデルに過度に依存した——などとして、場合によっては法的責任を追及する考えを示してきた。

 これに対し、開業時の最高幹部の1人が7日までに朝日新聞の取材に応じ、「私の経営ミスもあった」と一部責任を認めた。大手銀行に優良な融資先を取られたほか、融資を求めた企業の財務データの信頼性が低いケースなどがあり、焦げ付きを融資全体の4〜5%に抑える計画だったのが1割に達してしまった、などと明かした。

 しかし、旧経営陣に責任を転嫁する知事の姿勢には「都や専門家の作った当初計画通りの展開をした」と反論。「もともと年間経費が150億円かかる銀行規模のため、6000億円の融資残高がないと黒字にならない計算で、融資拡大に焦った」とした。

 「不良債権化を前提に融資したのでは」との指摘には、「都などが設定したスコアリングモデルで自動的に融資を決める以上、ありえない」。中小企業を支援するビジネスモデルについて「企業の財務データが外向け、内向けなどある現状では早すぎたのかもしれない」と語り、準備不足だった面を指摘した。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0307/TKY200803070315.html