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2008年03月07日(金) 12時18分

<虚偽登記>後藤組組長に無罪判決 東京地裁毎日新聞

 所有権のないビルの移転登記をしたとして、電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪に問われた指定暴力団山口組後藤組組長、後藤忠正被告(65)に対し、東京地裁は7日、無罪(求刑・懲役4年)を言い渡した。福崎伸一郎裁判長は「虚偽の登記をする故意があったとは認められない」と述べた。

 共謀に問われた会社役員、坂上雅夫被告(50)も無罪とした上で、別の見せ金増資事件の電磁的公正証書原本不実記録ほう助・同供用ほう助罪で懲役1年6月、執行猶予3年(求刑・懲役4年)を言い渡した。

 事件では、起訴された5人のうち元不動産会社社長2人の無罪が確定している。両被告側は「元社長らと共謀したという検察の主張は崩壊した。売買契約は有効で、虚偽登記ではない」と無罪を訴えていた。

 判決は、後藤被告側がビル購入に13億円を支払っている経緯などから「両被告の弁解には相応の合理性があり、不実の登記をする認識があったと認めるには合理的な疑いが残る」と結論付けた。「後藤被告が取引の詳細な説明を受けていたとは考えられない」とも認定した。

 後藤被告らは05年2月、東京都渋谷区のビル所有権を後藤組の関連企業に移転する虚偽登記をしたとして起訴され、検察側は「多額の転売益を得ようとした」と主張していた。東京地裁の別の裁判官は06年9月、取引にかかわった不動産会社役員(58)に有罪(確定)を言い渡し、後藤被告との共謀を認定している。【銭場裕司】

 ▽渡辺恵一・東京地検次席検事の話 主張がいれられず、極めて遺憾だ。控訴の方向で検討したい。

 ▽後藤被告の牧義行主任弁護人の話 完全に犯意がないと認定されたことには満足している。起訴された5人のうち4人が無罪になったのは異例で、誤った起訴だった。被告に大きな苦痛を与えた検察には強い反省を求めたい。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080307-00000044-mai-soci