記事登録
2008年02月24日(日) 06時03分

三浦和義容疑者サイパンで逮捕…「ロス疑惑」終わってなかったスポーツ報知

 “ロス疑惑”は生きていた。米ロサンゼルス市警は23日、三浦和義容疑者(60)を元妻の一美さん(当時28歳)の殺人容疑で、22日に米国自治領サイパン島の空港で逮捕したと発表した。三浦容疑者は、81年11月にロサンゼルス市で、妻だった一美さんを銃撃したとして殺人罪に問われながら、03年に最高裁で無罪が確定。米国では時効がなく、ロサンゼルス市警の未解決事件担当班が入国を待ち受けていた。事件発生から27年の時を超え、再び容疑者となった。

 ロス市警は、グアムとサイパンの当局と捜査協力。三浦容疑者がサイパンを訪れるとみて逮捕のタイミングを見計らっていた。日本の捜査当局者によると、米国の捜査当局者は「新証拠が見つかり、逮捕に踏み切った」と述べたという。市警などはサイパン当局に容疑者の身柄引き渡しを求めており、ロスで裁判を受ける可能性がある。

 外務省のサイパン出張駐在当局者は、同島で身柄を拘束されている日本人男性を「三浦和義」と確認。週明けに、事務所の職員が男性と面会し、支持が必要か聞くという。三浦容疑者の逮捕は日本の政府関係者と捜査当局も確認し、ある元警視庁幹部は「日本で無罪が確定した後もロス市警は捜査を捨てていなかったのだと思う」と話し、ロス事件当時の坂口勉・元警視庁捜査1課長は「ただただ驚いている。事件の解明に向け、米国の捜査当局に頑張ってほしい」とした。

 三浦容疑者は、27年前に米・ロサンゼルスで当時の妻が銃撃を受け、約1年後に死亡した事件で、自らも重傷を負い、事件直後から“悲劇の被害者”として涙ながらに取材にこたえ、ワイドショーなどをにぎわせたが、その後、事件の黒幕として過熱報道の末、逮捕。日本の裁判では銃撃事件については紆余(うよ)曲折を経て、無罪が確定している。

 三浦容疑者の所属事務所アルファ・ジャパンプロモーションの荒井英夫社長は「ノーコメントにしてください」と動揺を隠せない様子。三浦容疑者は無罪確定後に同社長の支援を受け、05年から同事務所で芸能活動を本格化させていた。

 06年にはTBS系の情報バラエティー番組「サンデージャポン」の裏ファミリーとなり、和歌山毒物カレー事件の林真須美被告への接見や、証券取引法違反罪に問われたライブドア元社長の堀江貴文被告へエールを送るなど、マスコミにもたびたび登場。06年8月からは「三浦和義ライブ・トークショー」を開催し、今月3日に東京・渋谷区で開いたばかり。3月2日の第20回開催では冤罪(えんざい)事件について検証する予定だった。

 「人権と報道・連絡会」の山際永三事務局長によると、1週間ほど前に電話で話した際、三浦容疑者は妻が経営する輸入雑貨店の仕入れと観光のため、妻と一緒に1週間ほどサイパンに行くと語っていた。サイパンはたびたび訪れていたという。

 なお、三浦容疑者は昨年4月、自宅近くのコンビニでサプリメント6個(計約3600円相当)を万引きしたとして逮捕され窃盗罪に問われたが、小田原簡裁が出した罰金30万円の略式命令を不服として正式裁判を請求。現在、横浜地裁小田原支部で公判中で、今月25日が公判期日だった。

 弘中惇一郎弁護士(ロス事件の主任弁護人)「ロス事件捜査の際、日米両当局が協議し、その結果として日本で捜査することが決まり、逮捕・起訴され、無罪が確定した。その経緯を考えると、このようなことは許されない。日本政府は国民の人権を守るべく、きちんとした対応をする必要がある」

 ◆ロス銃撃・殴打事件 1981年8月、米国ロサンゼルス市を旅行中の三浦容疑者の妻だった一美さんがホテルの部屋でハンマーのようなもので殴られ、頭にけが。同年11月、同市内で一美さんが頭に銃撃を受け、約1年後に死亡、一緒にいた同容疑者も左足に重傷を負った。84年、週刊文春の連載「疑惑の銃弾」をきっかけにマスコミが保険金殺人疑惑として報道。警視庁は85年9月、81年8月の殴打事件の殺人未遂容疑で同容疑者と知人の元女優を逮捕。88年11月に東京地検が銃撃事件の殺人罪で同容疑者と駐車場経営者を逮捕、起訴した。殴打事件は98年9月、三浦容疑者の実刑判決が確定し、01年1月に刑期満了。銃撃事件は1審で無期懲役だったが、2審は逆転無罪に。最高裁も03年3月に検察側の上告を棄却し、無罪が確定した。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080224-OHT1T00093.htm