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2008年02月23日(土) 21時12分

<三浦元被告>「今ごろなぜ」…支援関係者らに衝撃 逮捕毎日新聞

 ロス銃撃事件で日本で無罪が確定した三浦和義元被告(60)が休暇中のサイパンで逮捕されたとの一報に、支援してきた関係者は確認に追われた。「今ごろになってなぜ」「今回も日本での無罪のようにたいしたことにならない」。遠い南国での出来事にショックを隠しきれない様子だった。

 「三浦元被告逮捕」の連絡は23日午後5時ごろ、サイパンの土産物店の男性から、三浦元被告の告白本「ネヴァ」を出した東京・台東区の「モッツ出版」に入った。高須基仁社長によると、「三浦氏が身柄拘束された。ロス疑惑で逮捕状が出ていた」と話したという。男性は「三浦さんは『サイパンは米国領ではないから、身柄拘束はないだろう』と話していた」という。

 高須社長によると、三浦元被告は昨年末、「ロス市警に話し合いに行く」と言って米国に渡航した。「結局、あれは決着をつけなければいけない。自分の逮捕はありえない。ただし、捜査は近い」と話し、米当局の捜査を察知していた感じがあったという。今年1月23日には高須社長のパーティーに出席し、普段と変わらず元気な様子だったという。

 また三浦元被告と親しい関係者によると、三浦元被告は夫婦で18日ごろから一週間の予定でサイパンに旅行していた。「米国では(ロス事件関係の)裁判があっているから、拘束されてもいけない」と米国には行かないようにしていたという。「前の日本の裁判で無罪になったから、今度もたいしたことにならないのでは」と心配していた。23日には帰国予定だったという。

 ◇米捜査当局が新証拠つかむ? 専門家の見方

 日本の憲法は、一度無罪とされた行為について再び刑事責任を問うことはない「一事不再理」の原則を掲げている。日本人が外国で事件を起こし、その国の法律で裁かれる場合は、この原則は適用されないが、実際に立件されるのは極めてまれで、専門家も「聞いたことがない」と驚く。

 前田雅英・首都大学東京法科大学院教授(刑事法)は「米国の捜査当局も、三浦元被告の無罪が確定したことは当然知っている。それでも逮捕したのは、日本の裁判では出てこなかった有力な証拠を握っている可能性が高い。ロス市警が日本の警察と太いパイプを持っているとも考えにくく、独自の捜査を続けていたのだろう」と分析する。

 事件が20年以上前に起き、日本では殺人罪の時効(15年)が成立している。この点についても、前田教授は「日本にいる期間を『国外への逃亡』とみなすなどして、時効の問題はないと判断しているのは間違いない」と話す。

 ◇万引き事件公判、被告人質問の予定

 神奈川県平塚市郊外にある三浦元被告の自宅は23日夜、ひっそりと静まり返り、玄関のインターホンに応答はなかった。室内に明かりはついておらず、駐車場にも乗用車が置かれたままだった。

 三浦元被告はコンビニエンスストアでサプリメントを万引きしたとして窃盗罪に問われ、横浜地裁小田原支部で25日に被告人質問が行われる予定だった。

 報道の問題掲げトークライブも 元被告近況

 三浦和義元被告本人のホームページ(HP)によると、今月8日付けの「独り言」という書き込みには、来月2日開催予定の東京都渋谷区のライブハウスでの20回目のトークライブについてつづられている。

 「痛快・現代人別帳」と名づけられたライブの開催の目的を「マスコミやジャーナルの報道が正しいとは限らない。けれどそれだけしか頼る判断材料がない。今、私たちが知りたいのは、出来事の本質である。人間らしい言葉である。人間たちの裸の声である」と記している。

【写真特集】 なぜ今になって 三浦和義元被告逮捕

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080223-00000100-mai-soci