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2008年02月22日(金) 03時47分

無認可共済を行政処分へ 改善命令後も違法募集 金融庁朝日新聞

 公的介護保険でまかない切れない分を補完する共済などを販売し、2万4000人の会員を集めた「全国養護福祉会」(本部・東京都新宿区)が金融庁の業務改善命令に従わず、その後も保険業法に違反して掛け金を集めていたことがわかり、同庁は近く、業務停止命令も視野に追加の行政処分を出す方針を固めた。

 全国養護福祉会のように根拠法や監督官庁のなかった「無認可共済」は06年の保険業法の改正により、募集などで規制の網がかかった。さらに業務を続けるには今年3月末までに、保険業者や少額短期保険業者として登録・認可の申請をしなければならない。また、募集の際は、4月以降に契約内容が変わる可能性があることを事前に説明する必要があるが、同福祉会は顧客に説明をしないまま募集を繰り返し、昨年末に業務改善命令を受け、業務改善計画の提出を求められた。

 ところが、期限内に計画を提出しないだけでなく、改善命令を無視してその後も違法な募集を重ねていた。内部資料によると、1月分だけで100件以上の新規契約を結んでおり、顧客が支払った前払い金は4000万円を超えているという。

 同福祉会は、早川一男代表社員(82)が85年に設立。「小さな負担で大きな幸せ」などをうたい文句に、保障期間が数十年にわたる介護保障や死亡保障などの共済を全国で販売。1500万円を払えば、山梨、神奈川の両県にある老人ホームの入居権が得られる介護保障なども扱っていた。

 07年9月期の決算によると、掛け金などの基本収入は26億円と前年同期比で7割増、契約者数も同2割増と、急速に拡大。関係者の一人は「募集を担う協力員に100万円単位の活動費を払うことが契約数の増大につながった」と指摘する。

 一方、兵庫県では老人ホームの建設が実現しなかったとして会員から集団で前払い金の返還を求める訴訟が起こされ、首都圏では見舞金の不払いをめぐる訴訟が相次ぐなど会員との間でトラブルが多発していた。3月末までは、無認可共済の既存業者が業態転換の準備などをするための「移行期間」で、全国養護福祉会はそのすきをついて違法な募集を繰り返していたとみられる。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0221/TKY200802210386.html