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2008年02月15日(金) 23時10分

「超党派」の動き活発、与野党連携の加速に戸惑いも読売新聞

 与野党の国会議員が政策テーマごとに連携する動きが活発になっている。

 将来の政界再編を視野に入れているケースもある。

 しかし、自民党執行部からは「党の結束を乱しかねない」として、警戒する声も出始めた。

 超党派の訪韓団を率いた自民党の加藤紘一・元幹事長は11日の記者会見で「政策的理念が一致し、コミュニケーションがとれるグループが党を超えて生まれていないと、ねじれ国会の中では国政をうまく進めていけない」と強調した。

 与党内には、「外交や社会保障など基本政策を進めるには、民主党の協力が欠かせない」との認識が広がっている。超党派の連携を進める議員は、こうした問題意識を共有しており、「医療現場の危機打開と再建を目指す議員連盟」は、地域医療に携わる医師の確保など喫緊の課題を超党派で解決していくことが目的だ。

 ねじれ国会のルール作りを目指す動きもあり、6日には自民、民主両党の若手衆院議員7人が、硬直化している国会の慣例の見直しを提言した。北川正恭・前三重県知事らが結成した運動組織「地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合」(せんたく)と連携する「せんたく議員連合」(仮称)も20日に発足し、地方分権改革などの政策に加え、国会審議のあり方も検討する方針だ。

 与野党連携の加速ぶりに、戸惑う声もある。

 15日の自民党役員連絡会で、坂本剛二組織本部長は「若手議員から『(野党とは)互いに選挙で戦い、緊張感を持ってやっているので妙な誤解を与えないようにしてほしい』という意見があった」と指摘した。これを受けて、伊吹幹事長は「それぞれの判断で勉強会や議連はやるわけだから、それは結構だが、(野党を)取り込むつもりが取り込まれるということもあるから注意してほしい」とクギを刺した。

 「せんたく議連」の中心となる河村建夫広報本部長は「福田内閣の進める方向と軌を一にするものだ」と説明したという。

 だが、同党内には「ねじれ解消には、政界再編しかない」と指摘する向きが少なくない。超党派訪韓団の参加者の一人は「訪韓団は保守リベラルの勢力をつくるための布石だ」と漏らす。

 民主党執行部は、超党派連携について「さほど影響力を持つとは考えにくい」(鳩山幹事長)としている。しかし、小沢代表と距離を置く仙谷由人、枝野幸男両元政調会長が超党派連携に関与していることもあり、その動向に神経をとがらせている。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080215-OYT1T00691.htm