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2008年02月12日(火) 14時32分

加工食品の原産地表示、都は「全部」国は「困難」読売新聞

 中国製冷凍ギョーザによる中毒事件を契機に、加工食品の原産地表示のあり方がクローズアップされている。一部しか表示されない現状では不十分だとして、東京都の石原慎太郎知事は表示の強化を検討する方針を表明。

 しかし、農林水産省は「すべての原材料の産地を正確に確認できるかどうか……」と慎重な姿勢を示し、食品業界からも「多すぎて書ききれない」「季節によって材料が変わる」などと困惑の声が上がっている。加工食品はどこまで「透明化」できるのか。

 「(国に)先んじて、条例ででも原産地表示がすべてに及ぶ規定を、積極的に考えていきたい」。石原知事は8日の記者会見でそう述べ、日本農林規格(JAS)法に基づく加工食品の品質表示基準を「よく分からない規定」と評した。

 JAS法は、国内で製造された加工食品について、外国産の原材料が使われていても、原材料の原産地まですべてを表示する義務は課していない。原産地の表示義務があるのは、「表面をあぶった食肉」「衣をつけた魚介類」など加工度の低い食品で、かつ50%以上の重量を占める原材料などに限られる。例えば、カキフライのカキなどがこれにあたる。

 「天洋食品」のギョーザは、中国で加工・製造されたため、JAS法に基づき、袋の裏に中国産の表示はある。しかし、キャベツ、にらなどの原材料をどこから調達したかまでは、製品自体が中国産のため、JAS法の規制は及ばない。

 石原知事の発言は、日本国内で加工・製造された食品を念頭に置いたものとみられる。しかし、それでも農水省は「全原材料表示」が簡単ではないことを強調する。同省の白須敏朗次官は7日の記者会見で、〈1〉多くの原材料が使われ、正確にすべての原産地を確認するのは難しい〈2〉海外でも事例がない〈3〉原産地の確認には膨大なコストがかかり、価格にはね返る−−などを理由に挙げた。別の幹部も「商品の限られたスペースにすべての原産地を記入するのは至難の業」と説明する。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080212-00000020-yom-soci