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2008年02月01日(金) 21時40分

信越化学工業が233億円申告漏れ、移転価格税制を適用で読売新聞

 塩化ビニール大手「信越化学工業」(東京都千代田区)が、米国子会社から受け取った塩ビ製造の技術料が安すぎるとして、東京国税局から2006年3月期までの5年間で計約233億円の申告漏れを指摘されたことがわかった。

 法人所得の海外流出を防ぐ「移転価格税制」が適用されたもので、過少申告加算税などを含めて約66億円を追徴課税(更正処分)された。同社は「技術料は適正だ」として異議を申し立てる方針。

 信越化学によると、同社は、塩ビ製造の拠点である米国子会社「シンテック」から売上高に応じて算定した技術料を受け取っているが、同国税局からは「信越化学が提供した技術でシンテックは高収益を得ているのに、見合うだけの対価を受け取っていない」と指摘されたという。

 移転価格税制では、海外子会社に製造技術やノウハウを割安で提供した場合は、国内で申告すべき所得を海外に移したとして課税される。

 シンテックは1973年設立で、76年に信越化学の100%子会社になった。水道パイプや外壁材などを製造し、06年12月期の売上高は約2512億円で、信越化学グループ全体の20%を占める。

 信越化学の中村健取締役広報部長は「他社からもシンテックと同じ算定率で技術料を受け取っていた実績があり、割安ではない。この技術だけでシンテックが高収益を上げたとは言えず、国税当局の指摘は不当だ」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080201-00000056-yom-soci