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2008年02月01日(金) 10時13分

揺れる「安心の生協」 中国製ギョーザ中毒東京新聞

 「何を信じていいか分からない」。中国製冷凍ギョーザの農薬混入問題で、商品を販売したのは「食の安心」が売り物の生協や大手スーパーだった。「コープマーク」を信頼する消費者からは不安の声が上がり、各生協では、31日も商品の回収が続いた。

 中毒を引き起こした冷凍ギョーザと同種の商品を販売していた名古屋市名東区のめいきん生協コープ藤が丘店。組合員からは「ほかの中国製品は大丈夫か」との問い合わせのほか、「コープは安心だと思ってきたのに」と厳しく指摘する電話が相次いだ。

 同店では前日に引き続き、十数袋を回収。水田繁店長は「本当にショックだ。申し訳なくて、今日もお客さんの顔をうつむき加減で見るしかなかった」と声を落とした。

 「安心」を買っていたはずの常連客。長野市内の生協に買い物にきていた同市の主婦宇都宮真由美さん(35)は「しっかり調べてほしかった」。岐阜県多治見市の会社員吉崎龍男さん(55)は「メーカーをしっかり指導してもらわないと。コープブランドを信頼していつも利用しているので、何を信じていいか不安になる」と訴えた。愛知県豊橋市の主婦(30)は「ミートホープの牛肉コロッケに続き、今回で信頼は3割減。でも、まだ期待しています」と話した。

 問題の冷凍ギョーザは、日本生活協同組合連合会(日本生協連)が商品企画しジェイティフーズに製造を依頼、中国の「天洋食品」が下請けで製造を請け負った。各地の生協は、日本生協連を通じて冷凍ギョーザを仕入れ、店頭や共同購入などで会員に販売した。

 独自の商品検査機関を持つなど、「食の安心・安全」を売り物にしてきた生協だけに、末端の地域生協の多くは「本部を信じて仕入れているのに」「本部はもっとしっかり調べてほしかった」と口をそろえる。

 今回のような混入は防げるのか。日本生協連は「品質管理体制の一層の強化と、再発防止に努める」とするが、具体的な防止策は「現在は商品の撤去・回収に全力を挙げている段階で、まだ何ともいえない」(渉外広報本部)と、頭を悩ます。

 名古屋経済大消費者問題研究所の小木紀之所長(66)は「生協も、聖域じゃないということ」と指摘。「食肉や生鮮商品は検査が強化されているが、加工商品は落とし穴だった。行政と売り手は一層のチェック態勢の強化が必要だが、消費者も意識を高めることが重要だ」と訴えた。

 一方、藤竹暁学習院大名誉教授(大衆心理)は「消費者はパニックに陥らずニュースを見て情報を仕入れることが大切。念のため中国製食品は当面使用を控え、安全性を確認しながら今後使っていけばいい」と冷静な対応を呼び掛けている。

(中日新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008020190084314.html