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2008年02月01日(金) 20時24分

中国産ギョーザ、大手商社も直撃 調達先変更も産経新聞

 中国産ギョーザ中毒事件を受けて、中国産食材の輸入代行を手掛けている大手商社が対応に動き出している。問題となった天洋食品の工場からの輸入を代行していた双日をはじめ、大手商社では生産管理体制の強化や、調達先の変更を検討している。ただ、他地域からの調達は現実には難しく、対応に苦慮する可能性もある。(藤沢志穂子)

 天洋食品からの食材輸入は、大手商社・双日の子会社、双日食料(東京都)が代行していた。昨年1年間の輸入量は約2000トンに及ぶ。同社は中国を中心に、世界に300社強の食材の取引先を持ち、それらに対し、安全管理を徹底するよう指導する文書を一両日中に発送する。

 双日によると、天洋食品での残留農薬のチェックは、天洋が年1回、中国当局の検査機関に野菜を持ち込み、チェックを受けていた。また、双日食料が毎年年末に日本から品質保証室の担当者を派遣、工場内の生産工程をチェックしていたが、こうした態勢が「不十分だった可能性はある」(幹部)とし、管理体制をより強化する方向だ。

 三井物産の場合、中国との食材の取引は年間80億円程度。茶葉が多くを占め、残留農薬のチェックのため、かねてから栽培・流通履歴の完全把握を義務づけていたが、昨年から対象を各国からの輸入食材全般に拡大し、輸入前の履歴が確認できない産品は取り扱いを中止した。今回の事件で「より一層、管理体勢を強化していくことになる」という。

 豊田通商も天洋食品と牛すじ肉11・9トンの取引があった。このうち出荷済みだった3・6トン、約500万円相当の回収を始めた。豊田通商では「中国一極集中のリスクを避けるため、今後は食材の調達先をタイやベトナムなどにも広げていきたい」(清水正己常務)としている。

 中国産の食の安全が問題視されるなかで、東南アジアなどに調達先や加工工場を分散する動きはかねてからあった。ただ「中国は広大な面積を持ち、気候が日本に似ていて通年で生鮮野菜を生産できる。加工工場も含め他の地域への移行は、現実的には難しい」(日本貿易振興機構)との指摘もある。当面は各社とも生産工程の強化を優先することになりそうだ。

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