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2008年01月31日(木) 11時28分

中国産食品の回収拡大 ギョーザ中毒問題朝日新聞

 千葉・兵庫両県で有機リン系薬物が混入された中国製ギョーザを食べた計10人が下痢や嘔吐(おうと)などに見舞われた薬物中毒で、メーカーや流通を含む食品業界各社は31日、問題となった冷凍ギョーザを製造していた中国の食品会社「天洋食品廠公司」の商品を一斉に回収し始めた。

 被害者が出たのは、「CO・OP 手作り餃子(ぎょうざ)40個」と「ひとくち餃子」(20個入り、260グラム)。いずれも天洋食品製で、日本たばこ産業(JT)の子会社ジェイティフーズ(東京都品川区)が輸入していた。

 厚労省によると、07年1月から今月30日までに天洋食品から輸入された食品は、ギョーザ、ニンニク、トンカツなど約15種類で計3535トン。このうち、千葉県で中毒を起こしたギョーザは昨年10月29日に天津港で船に13トン積み込まれ、11月1日に川崎港に入港。兵庫県の例は、2日に13トンが積まれ、6日に大阪港に入ったという。

 千葉・兵庫のギョーザは、いずれも昨年10月に天洋食品が製造。検出されたメタミドホスなど5種類の農薬については、中国農水省が同年1月から使用・販売を禁止していた。

 ジェイティフーズは30日夕、天洋食品製造の23品目の自主回収を発表。同日夜までに、加ト吉(香川県観音寺市)が18品目、味の素冷凍食品(東京都中央区)が2品目、江崎グリコ(大阪市西淀川区)も1品目の回収を決めた。

 回収の動きは、コンビニエンスストアやスーパーといった小売り業界にも広がっている。

 ローソン(東京都品川区)は31日、天洋食品製の業務用冷凍食品3品の販売を中止。対象は、全国で販売している「豚串カツ」(約570店舗)、東北、中四国地区の「アスパラベーコン串」(約31店舗)、同地区の「豚ロース串カツ」(約42店舗)。

 また、青森、秋田、岩手3県でスーパー41店舗を展開するユニバース(青森県八戸市)は31日朝、社長を含めた緊急会議を開き、産地を問わず、冷凍ギョーザを全店ですべて撤去することを決定。ジェイティフーズの回収対象商品11品目をすでに撤去したが、加ト吉など別の社の回収発表が相次いだため、ほかのメーカーにも問い合わせ中だ。冷凍食品は中国製の占める割合が高く、同社は「今はとにかく安全が第一」と話した。

 危機感は、教育現場にも飛び火。静岡県三島市の小学校では、31日の給食に出される予定だったギョーザを取りやめた。問題となった食品会社からの輸入ではないが、市教委は「不安感が広がっている」と判断。児童と教職員合わせて770人分を「すべて国産」というシューマイに変えた。

 富山県滑川市教委は、2月25日の給食に出す予定だった「三色野菜の包みあげ」に使う野菜がジェイティフーズから購入したものだったため、メニューの変更を決めた。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0131/TKY200801310117.html