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2008年01月10日(木) 07時42分

バスケ強豪校でも「越境」 名古屋若水中、異動“名将”慕い20人東京新聞

 名古屋市内の公立中学校生徒がクラブ活動を優先して「越境」通学していた問題で、名古屋市千種区の若水中学校でも、女子バスケットボール部20人が、住民票だけを学区内の住所に移して越境通学していることが分かった。昨年8月の全国大会でベスト8に導いた顧問を慕う生徒が大半という。同市教委によると、公立小中学校で越境通学するケースは昨年6月時点で246人、スポーツ関係に限ると現在41人に上る。

 若水中などによると、越境通学している生徒は、1年6人、2年8人、部活を引退した3年生が6人。2006年4月から昨年7月までに、愛知県内の自宅に住みながら、住民票を学区内の知人宅やバスケ部OB宅などに移して同校に転入した。

 女子バスケット部顧問の男性教諭(57)は前任校で全国優勝を達成するなど指導力が高く、同教諭が若水中へ異動した06年春、前任の中学校で教えた部活動の生徒6人が転入、その後も同様のケースが相次いだ。

 若水中は昨年の全国中学校バスケットボール大会で、初出場でベスト8に進出。ベンチ入りメンバー15人のうち、12人が越境通学だった。

 学校側は06年6月ごろ、この事実を把握し、保護者らと話し合ったが、地元の中学校に戻った生徒はいないという。松本悟教頭(56)は「指導力のある教諭のもとで頑張りたいという生徒や保護者の意志が固かった」と話している。

 昨夏の全国大会で初出場で優勝した同市守山区の守山北中学校バレーボール部でも、ベンチ入りの男子部員7人が越境通学していたことが判明。市教委の指導で3人が地元中学に戻ったが、4人はそのまま在籍している。

 ■愛知教育大の折出健二副学長(教育臨床学)の話 能力を発揮する場を学校に求める風潮は、これからますます強くなっていくだろう。自分を高めるために部活動で特定の顧問の指導を受けたいと願う生徒らにどう対応するか早急に議論を深める時期に来ている。一方で、学校選択を完全に自由にすると、進学に有利な学校に生徒が流れたりし、淘汰(とうた)される学校も出てくる。子どもが地域で学ぶ権利を保障する公教育のバランスも重要だ。

(中日新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008011090060900.html