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2007年12月21日(金) 16時40分

株価操作 西田被告 罪状認める 大阪地裁初公判 「大物仕手筋」面影なく産経新聞

 ジャスダック上場の旧南野建設(現A・Cホールディングス)の株価操作事件で、金融商品取引法違反(相場操縦)の罪に問われた「最後の大物仕手筋」の投資アドバイザー、西田晴夫(57)と古物商、榎本繁(60)、投資会社役員、谷口豊(51)の3被告の初公判が21日、大阪地裁(樋口裕晃裁判長)で開かれ、3被告は「間違いありません」と起訴事実を認めた。

 起訴状などによると、西田被告らは平成14年11月下旬から12月中旬にかけ、旧南野建設株について売りと買いの注文を同時に出す仮装売買などの手法で株価をつり上げ、約3億8000万円の差額利益を得た。また谷口被告は昨年10月、ジャスダック上場のパソコン販売業「オー・エー・システムプラザ」の株でも不正な株価操作を行った。

 西田被告はこの日、紺色のスーツ姿で入廷。消え入りそうなかすれ声で罪状を認め、「大物」の面影はなかった。

 「電話一本で億の金が動く」とささやかれた西田被告は元大阪府守口市職員という異色の経歴の持ち主。市職員時代に株に目覚め、30代で退職して「プロ」に転じた。

 業績が悪化し資金繰りに苦しむ会社の株をターゲットにした。会社に新株を発行させ、増資に応じた投資家の株を使って株価つり上げを仕掛ける。安値の“ボロ株”は高騰して億単位の利益を生み出し、「西田銘柄」「N銘柄」と呼ばれた。

 「彼のすごさは相場をぶちあげる力。『西田がやるぞ』となると、彼を信奉する信者たちが仕手戦に乗っかり、株価は急騰した」(仕手グループの元メンバー)

 ただ、金融業界からの信用は低く、資金力のある人物と組み、自らは黒子に徹した。自分の口座を持たず、取引に関与した痕跡を残さないため、捜査当局からたびたび狙われながらも、長く摘発を逃れた。業界では「体調を崩し約3年前に引退した」との情報も流れたが、10月に大阪地検特捜部に逮捕される直前には英会話学校大手「NOVA」の増資計画にも関与、新たな仕手戦を計画していたとみられている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071221-00000129-san-soci