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2007年11月30日(金) 13時14分

耐震強度偽装事件で補強工事が完了した横浜市鶴見区のマンション住民を取材しました。フジTV

2005年に発覚した姉歯秀次被告(50)による耐震強度偽装事件。事件後、住民が一時退去を余儀なくされていた横浜市のマンションで補強工事が完了し、住民が戻り始めました。
事件から2年、住民は今、何を思うのか。
29日に引っ越しを終えた家族を取材しました。

25日、横浜市鶴見区のマンション「コンアルマーディオ横濱鶴見」のしゅん工式が行われた。
横浜市の会社で働く中国人の蒋梅華さん(53)は、耐震強度偽装事件発覚直後に出された使用禁止命令で退去を余儀なくされた住民の1人。
蒋さんは、事件後「悩み悩み、次から次へ、次から次へ。もう自分の力じゃ解決、とても無理です」と話していた。
当時、蒋さんはこのマンションで、妻と2人の娘と4人で暮らしていた。
しかし、入居からわずか2カ月で事件が発覚し、耐震強度が基準の半分にも満たないことが判明した。
その後、横浜市と住民たちは、「建て替え」か「補強工事」か、その費用などをめぐって200回以上の話し合いを重ね、補強工事を選択した。
以来、蒋さんはおよそ2年間、隣町に部屋を借りて暮らしていた。
蒋さんは「なんで自分は大きい家があるのに住めなくて、こっち住まなきゃいけないのっていう、落ち込む」、「予算外のお金支払ってるんですよね」と語った。
仮住まいの家賃は国と横浜市が3分の2を援助、3分の1が住民の負担となった。
さらに、しゅん工式の日、補強工事の修了書と一緒に請求書が渡された。
蒋さんは「(ベランダ・窓の工事費の)請求書です。74万4,000円、自分払いです。(全体の支払いは?)全体で約1,000万円です」と語った。
補強工事は、外壁に補強用の鉄筋コンクリートフレームを組み立て、建物と接続するなどして完了した。
住民の追加負担は1戸あたりおよそ1,000万円にものぼった。
2007年4月、末っ子の紫恵ちゃんは小学校に入学した。
仮住まいの近くではなく、補強工事中のマンションの近くにある学校を選んだ。
蒋さんは毎朝出勤前、自転車で20分もかけて紫恵ちゃんを送った。
そして29日、蒋さん一家は2年ぶりにわが家に戻った。
マンションのローンに加え、補強工事にかかった1,000万円の返済もあるが、蒋さんはマンションに戻れたことが何よりもうれしいという。
蒋さんは「不幸の中の幸いじゃないですか。本当にありがたいんですよ。このマンションに安心して住めるじゃないですか」と語った。
わが家に戻る日を信じて頑張ってきた蒋さん一家の新たな生活が始まった。

今回、取材した蒋さんのマンションは、話し合いや工事が最も順調に進んだケース。
事件後に使用禁止になった分譲マンションは、全部で12棟ある。
中でも耐震強度が最も低かった神奈川・藤沢市のマンション「グランドステージ藤沢」は、4階部分より上の解体工事を行っただけで工事はストップし、12月1日の住民集会で再建案が決議される見通し。
highlow highlow 2007/11/30 13:14

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