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2007年11月30日(金) 10時00分

ミシュランの野望日刊ゲンダイ

●本物?
 どー、これ? 旬でしょう——と情報関連のサラリーマンがスーツのジャケットをクルッと裏返すと、近ごろ見慣れたロゴが目に飛び込んできた。フランスの「MICHELIN」。
「もしかしてミシュランのスーツ?」
「だと思うよ」
 でもミシュランのスーツなんて聞いたことがない。本物か……。
「トラベルスーツは確かに日本で販売しています」(日本ミシュランタイヤの関係者)
 本物だった。先週発売の「ミシュランガイドブック東京」が飛ぶように売れ、やれ三つ星だ、一つ星だと大騒ぎだけど、ミシュランの日本攻略作戦はガイドブックだけじゃなかった。
 ミシュラングループは、世界中で「ミシュラン」ブランドを使ったビジネスを展開している。日本では2000年にブランドビジネスをスタートさせ、いくつかの企業にライセンスを供与。その契約先がいろいろと販売している。そのひとつがトラベルスーツというわけ。

●約20社と契約
「ほかに業務用のアパレル製品やジャンプスーツ、靴、Tシャツからマグカップといったグッズなどがあります。これまで20社ほどとライセンス契約を結んだ実績があります」(日本ミシュラン関係者)
 ただしグッズ系を除き、ミシュランのブランド戦略はBtoB(企業間取引)が基本で、一般消費者向け商品は扱わない方針。スーツは繊維のユニチカテキスタイルがミシュランと契約し、さらにユニチカが各メーカーにサブライセンスを与える仕組みになっている。
 伸縮性のいいストレッチ素材を使ったスーツは「旅行をメーンにする添乗員などが着るビジネスウエアの位置付けです」(販売元のアイトス)という。一応、業務用らしい。
 そのせいか常設でミシュランのトラベルスーツを販売する店舗はゼロ。どこで手に入るの?

●エプロンは完売
「現在は百貨店の大丸で行われる催事で扱うことが多いです。ただ、これだけミシュランが盛り上がっているので、別の販売方法もあるのかなと思っています」(アイトス関係者)
 もうすぐ開催の大丸東京店「男のアイテム大バーゲン」(28日〜12月3日)でミシュランのトラベルスーツが並ぶ予定。
 業務用のウエアは、コックが着る服。一般には手に入りにくいが、ユニチカ経由で、サブライセンスを持つ白洋社の直営店舗で入手可能だ。「今後は日本食店向けのウエアも充実させたい……」と白洋社関係者。ライセンスビジネスだけに勝手にアイテムを増やせないもどかしさも漂う。
 だが、ミシュランは本腰を入れ始めた。11月に入って「ライセンス担当者」を日本に新設し、新たなビジネスチャンスを探りだした。ガイドブックの熱狂を、本業のタイヤやブランド強化に利用しない手はない。グッズ系を扱うエムクリエイティブの直営店「03SHOP」(東京・代官山)は、ガイド本発刊記念のエプロン(数量限定)を発売、早くも完売で効果絶大。
 この先、意外なミシュラン物が続々と登場しそうな予感たっぷりだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071130-00000014-gen-ent