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2007年11月30日(金) 10時00分

万年筆 人気復活日刊ゲンダイ

 万年筆といえば、オジサンの筆記具というイメージが強かったが、近ごろは20代から30代のサラリーマンユーザーが増えている。若い世代にウケているのは手帳やハガキなどに書いた万年筆の文字は味があり個性も表れるし、筆記具そのものもファッショナブルだから。万年筆の人気復活はオジサンにはなんとなくうれしいニュースだ。

●購入者は中年以降と20代から30代が中心
 日本の老舗万年筆メーカー「パイロットコーポレーション」販売企画担当者はこう言う。
「この数年、当社の万年筆の生産量は右肩上がりです。71年に初代製品を発売し、ロングセラーの『カスタムシリーズ』は、現在14種まで増えています」
 一方、「銀座・伊東屋」販売2課の伊藤真美アシスタント・マネージャーはこう言う。
「購入者は2つに大別されます。まず40代以降の男性。高校や大学で使った経験があり、懐かしさから買われる方がほとんどです。書き味のよさが求められています。もうひとつは20代から30代の男性で、情報誌などで紹介されたことで関心を持ち、とりあえず使ってみようという方が多い。洋服や時計を買うみたいにファッション感覚で購入しますので、ブランドやデザインにウエートが置かれているようです。今年10月末までの万年筆の売り上げは昨年同期と比べて十数%増えています」

●輸入品はモンブラン、ペリカン、アウロラが人気
 銀座・伊東屋の売れ筋はこんな具合だ。
 輸入品はドイツのモンブラン・マイスターシュテュック145(5万3000円台と5万6000円台)、同じくドイツのペリカン・スーベレーンM600(4万円弱)、イタリアのアウロラ・オプティマ(5万円弱)がベスト3。
 これら3ブランドの製品のほとんどは、インクカートリッジは挿入できず、昔ながらの専用インクを吸入する方式。モンブランの購入者の多くは中年以降だ。

●国産品は入門として買う人が多い
 国産品はパイロット・カスタムシリーズ(1万円台から3万円台が中心)と、セーラー・プロフィットシリーズのうち特にペン先が大きめの「長刀研ぎ」(2万6000円台)が人気。国産品は吸入とカートリッジの併用タイプで、買ったときインク吸入器が付いているものもある。国産品は入門の万年筆として買う人が多い。

●定年退職の記念に1本が増える
「萬年筆研究会」会員60人のオススメの1本の写真とその理由を収めた本「ペン!ペン!ペン! ファウンテンペン!」の編者で万年筆コレクターの足澤公彦氏はこう言う。
「デジタル時代だからこそ、自筆で手帳やハガキ、日記を書きたいという欲求は高まっています。一方、万年筆の文字は味わい深く、各人の個性が発揮できます。この2つの流れが相まって、万年筆の人気が復活してきたのでしょう。定年退職の記念に高級万年筆を買う人も増えていますよ」
 どうですか、あなたも1本。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071130-00000008-gen-ent