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2007年11月30日(金) 00時00分

刺す読売新聞

 このコラムを書いていておもしろいな、と思うのは、よく使う日本語の言葉が、通常の辞書には載っていないような意味で使われている場合がけっこうある、ということです。

 例えば、「刺す」。普通は物理的に「突き通す」などの意味ですが、最近は、「人を中傷して足を引っ張る」という俗語的な使われ方もしているようです。

 例えば、「どこの学校でも、人を刺すヤツって、いるよねえ」なら、You know, they have those people in any school, who always try to stab other people in the back. などとなります。stab〜in the back とは「陰で中傷する」などの意味です。

 シンプルに、「あいつは人を刺すからな」なら、He is a backstabber. などとなります。 backstabberは、「中傷する人」という意味です。

 また、不運なサラリーマンからはこんなぼやきも聞こえてきそうです。 I'm surrounded by a bunch of backstabbing bastards, and worst of all, my boss only listens to them. (僕の周りは人を刺すようなヤツばっかりで、さらに最悪なことに、上司は彼らの言うことしか聞かないんだ)でも逆に、こんなこともあるかもしれません。「僕の上司は出世コースを走っていたんだけど、部下に嫌われてて、そのうちの1人に過去の失敗を刺されて出世がパーになったよ」なら、My boss had been making his way up the company, but his subordinates hated him. Eventually, one of them revealed some of his past mistakes and wrecked his career prospects. などとなります。reveal は「ばらす」などの意味です。

 一方、いわれのない中傷を受ける場合は、表現も違ってきます。例えば、「彼は誰が見ても品行方正なのに、最近仲たがいした友だちにあることないこと刺されて、大変な思いをしたらしいよ」なら、He had a squeaky clean reputation, but after he fell out with his friend recently, his friend started spreading nasty baseless rumors. He really caused him problems.

 spread baseless rumors は「根拠のないうわさを言いふらす」という意味です。気が重くなる例文ばかりですみませんでした。

 (塚原真美記者)

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