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2007年11月30日(金) 19時35分

「インフルエンザ」ってホントに増えたの?オーマイニュース

 インフルエンザの診断は、至って簡単です。厚生労働省の感染症発生動向調査による症状診断基準では、患者さんを診察して、

1. 突然の発症
2. 38度以上の発熱
3. 上気道炎症状(せき、鼻水、いん頭痛)
4. 全身症状(筋肉痛、全身けん怠など)

 の4項目を満たすとき、インフルエンザと診断する、と定義されています。事実、この基準でもある程度まではかなり的確に診断できるのですが、どの項目も必ずしも客観的ではなく、医師の自由な裁量に委ねられています。

 しかし2001年の秋にインフルエンザの「迅速診断キット」が登場。これにより、日本全国のほとんどの医療機関にて簡単に、しかも客観的に診断ができるようになりました。ここ20年で最も流行していると言われていますが、つまり、診断技術の進歩が早期の患者診断を助長しているのであって、今年が単に流行が早いのか、それともこれまではインフルエンザと診断されなかった患者さんが、より的確に診断されるようになっただけなのかは、不明です。

 それに、かつてインフルエンザは「真冬の病気」であるという固定観念がありました。ですから、秋のうちからまさかインフルエンザなんてありえない、と医師が思い込んでいたのも事実です。上記のような症状だけでインフルエンザを診断する場合は、まずは医師がインフルエンザかも? と疑うことがなければ、始まりません。しかし、まさか、と疑って迅速キットを使って診断してみると、たしかに真冬になる前から、インフルエンザ陽性の患者さんが出る、ということに徐々に医師が気がつき始めました。つまり医師の常識が変革した結果、患者数が増えた可能性はないでしょうか。

 ともあれ、今年は患者さんの発生が早いようです。用心に越したことはありません。ご自分で「インフルエンザかも?」と疑ったら、医療機関を迅速に受診しましょう。

(記者:池澤 和人)

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