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2007年11月30日(金) 23時23分

あま〜い角界の体質露呈、朝青龍再来日オーマイニュース

 「朝青龍には反省の色があったと思う」

 「これで処分は終わったわけだから、今後を見守りたい」

 って、それで終わっていいんですか!?

 横綱・朝青龍の3カ月ぶり再来日騒動は30日夜、横綱審議委員会(横審)メンバーによるツッコミどころ満載の会見で幕を閉じた。

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 ことの始まりは今年2月、「週刊現代」が報じた朝青龍を中心とする八百長疑惑だ。その説明もせず、夏巡業を仮病でさぼってモンゴルに無断帰国し、サッカーに興じていたところをビデオに撮られ、2場所の出場停止処分と4カ月の減俸・謹慎処分を受けた。すると今度は、そのショックで精神疾患を患ったと包茎専門医に診断され、治療のためにまたモンゴルに帰った——というのが、朝青龍をめぐる最近の“ニュース”である。

 モンゴルでも、酔って暴れて店のドアを壊したとか、工事の音がうるさいと隣室の内装工を殴りつけたといった武勇伝が報じられていた。

 わがまま放題の横綱が、どの面を下げて戻ってくるのか。メディア各社は成田空港、両国国技館、自宅、部屋前と関係各所に張り込み、横綱を待ち構えた。

 午後4時50分頃、冷たい雨の降る東京・両国の国技館に、朝青龍を乗せた黒のバンが到着した。空港到着時は簡単にまとめていた髪を、きちんと髷(まげ)に結い直しての登場である。

 到着後はすぐに、東京相撲記者クラブが主催する謝罪会見に出席し、神妙に頭を下げた。

 「相撲が大好きなので、最初からやり直そうという気持ちで一杯です」

 「皆様にご迷惑をおかけし、心からお詫び申し上げます。これからも横綱として頑張りますので、宜しくお願いします」

 会見に大した内容がなかったのはテレビで流れたとおりなので、これ以上は割愛する。というか、東京相撲記者クラブ主催の会見には、加盟社(在京キー局とラジオ、通信・新聞社の加盟計32社と準会員2社)しか入れないのだ。部屋が狭いという物理的な問題もあるが、ネットはもとより、雑誌、APやロイターといった外国通信社は加入自体が阻まれている。

 午後6時、横審のメンバー12人中9人が臨時会合に参集。記者クラブの謝罪会見を終えた朝青龍と師匠の高砂親方の2人に対面した。およそ20分の対面後は、海老沢勝二委員長(元NHK会長)、内館牧子委員(脚本家)らが会見を開いた。そこで出たのが冒頭の大甘発言である。

 「謝罪会見をテレビで見ていたが、『相撲が大好きだ』と言っていた。十分反省し、やり直すと言った。(今回の騒動は)ひとつの大きな転機になったのではないかと思う」

 「本人は二度とやらないつもりでいるだろう。2度3度と続けば厳しい処罰をしなければならんと思うが、いつまでも尾をひいていてもファンのためにならない。ひとつ、良い相撲を取ってもらいたい」(いずれも海老沢委員長)

 と、横綱の資格を審査する場の長にしては何とも優しいエールの連発。

 以前に「早く引退した方がよろしいのでは」「私にとっては終わった力士」と朝青龍を厳しく批判していた内舘委員でさえ、

 「(朝青龍の謝罪は)あれでいっぱいいっぱいだったのでは。終始伏し目がちで、真っ正面から見据えられない感じだった。もっとふてぶてしい態度を取るかと思っていたが、それはなかった。今の気持ちを忘れないで欲しい」

と態度をやわらげる始末で、さすがに取材陣から「それで良いのか? (生活態度を)今後定期的にチェックしていくといった体制は取らないのか?」「(再教育などに)具体的な方策は採らないのか」と質問が飛んだほど。

 八百長疑惑を始め、一連の大相撲をめぐる不祥事を「週刊現代」で報じてきたノンフィクションライターの武田頼政氏は、

 「『反省しているから』というのはもう2度目か3度目。謝罪会見だって、朝青龍にしたらやり過ごしたという感じでしょう。誰も何も聞けていないのだから。記者クラブも横審もグズグズのナアナア。何でもっと問いただして、もっときちんと『今度やったら終わりなんだぞ』と言えないのか。疲れましたね」

 と感想を話す。

 横綱がしっぽを丸めて謝ってきたかのような今回の謝罪劇。

 朝青龍不在の大相撲は、先の九州場所で閑古鳥が鳴いた。「処分」に懲りたのは、果たして朝青龍の方か、相撲協会の方だったのか。

 朝青龍は12月2日に始まる地方巡業から土俵に復帰する。

(オーマイニュース編集部)

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