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2007年11月29日(木) 10時00分

次の人間国宝 豊竹十久大夫の4700万円横領日刊ゲンダイ

 文楽が久々に脚光を浴びたと思ったのに、身内の横領だった。
 国の重要無形文化財「人形浄瑠璃文楽」の演者でつくる福利厚生団体「むつみ会」は26日、会員の積立金のほぼ全額の約4772万円を使い込んだとして、前代表理事の豊竹十九大夫(76)を大阪地検に刑事告訴する。
 日本を代表する伝統芸能に降って湧いた突然の不祥事。しかも、仲間のカネを使い込んだ豊竹氏は、文楽太夫の最高位のひとりで、次の人間国宝と目された人物だというから二度ビックリだ。
 すでに財団法人文楽協会から25日付で除名処分を食らっているが、「ぜいたく品や飲食に使ったわけではない」と釈明している。
 文楽はユネスコ世界無形遺産にも登録されている。近松門左衛門が活躍した江戸時代には大衆娯楽の頂点を極め、今でも格式は歌舞伎より高いとされる。トップに君臨する竹本住大夫(83)は人間国宝だ。
「文楽協会加盟の演技者は、語り手である大夫が26人、人形遣いが38人、三味線19人の83人。今年度は大阪の国立文楽劇場や東京国立劇場などで年間193日、計420公演をこなすほか、地方公演や小中学校回りもある。ただ、歌舞伎や落語に比べるとマスコミの扱いも少なく、ごく一部のファンが地味に支えているのが実情です」(関係者)
 演技者の生活も厳しい。
「日本国宝級でも、年収は1500万円ほど。500万円なら中ほどですよ。収入を補うため結婚式の余興に出る人もいるが、弟子のアルバイトは修業に差し支えるとして原則禁止だからキツイ」(前出の関係者)
 近松が泣いている……。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071129-00000008-gen-ent