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2007年11月26日(月) 13時44分

オウム賠償、国が負担 教団未払い25億円朝日新聞

 オウム真理教による事件の被害者救済をめぐる問題で、自民党の「犯罪被害者等基本計画の着実な推進を図るプロジェクトチーム(PT)」(早川忠孝座長)は26日までに、被害者に対して国が賠償金を肩代わりすることを柱とした救済法案の概要をまとめた。教団は来年3月末に破産手続きが終結する見通しで、賠償金の未払い額は約25億円に上る。同党は来年の通常国会に議員立法で提案することをめざし、連立を組む公明党だけではなく、民主党にも協議を呼びかける。

 PTがまとめた「オウム真理教による犯罪被害の救済に関する法律案(仮称)」によると、破産手続きの未払い分を国が肩代わりするという異例の救済方法を選択する理由について「被害の特殊性にかんがみる」としている。

 具体的には、(1)オウム犯罪は民主主義に対する挑戦であり、無辜(むこ)の市民が国の身代わりとなって被害を被った(2)破産手続き中の教団による賠償は限界に達している(3)一連の事件は外国で特別立法がなされた9・11テロ事件やロンドン連続爆破テロ事件に匹敵する——といった点を挙げている。

 また、支給対象については「生命または身体を害されたことによる損害賠償請求権で弁済を受けていない部分」と規定。財産的な損害だけを受けた人は、対象から外している。

 現行の制度では、殺人など「故意」の犯罪被害に遭いながら、加害者から損害賠償などを受けられない被害者や遺族には国から「犯罪被害者等給付金」が支払われる。ただ、給付金額が少なく、さかのぼっての適用も難しいことから、法案概要では「オウム真理教の犯罪被害の特殊性を踏まえた別個の理念に立脚し、特別の被害者救済制度の検討が必要」と指摘している。

 96年に破産した教団が負った債務額は約51億円に上る。このうち、地下鉄サリン事件などの被害者や遺族への賠償にあたる債務は約38億円あるが、これまでに支払われたのは約13億円に過ぎず、約25億円が未払いとなっている。

 先月の債権者集会で、教団管財人が来年3月末で破産手続きの終結を提案。これを受けて、自民党PTが今月から賠償金を国が肩代わりする形の救済法案を検討していた。民主党も同じような救済法案の検討を進めており、今後は超党派の協議が進む可能性もある。

http://www.asahi.com/politics/update/1126/TKY200711260092.html