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2007年11月26日(月) 17時00分

湯沸かし器事故 遺族がパロマなど提訴 2億円賠償請求毎日新聞

 パロマ工業(名古屋市)製の湯沸かし器を使用中に一酸化炭素(CO)中毒で死亡した東京都港区の大学生、上嶋浩幸さん(当時18歳)の遺族が26日、同社や親会社のパロマなどに約2億560万円の賠償を求めて東京地裁に提訴した。パロマ側は1月、4390万円の見舞金支払いを提案したが、遺族側は拒否し「訴訟で事故の原因を解明し、再発の防止にもつなげたい」と訴えている。
 提訴したのは父正人さん(57)と母幸子さん(54)、姉(24)、上嶋さんとともにCO中毒で入院し後遺症を負った兄(27)。パロマのほか、湯沸かし器を不正改造したとされる業者と東京ガスにも賠償を求めた。
 事故は05年11月28日に起きた。応急修理で湯沸かし器に不正改造が行われ、不完全燃焼防止の安全装置が機能しなくなったのが原因とされ、警視庁がパロマ工業の小林敏宏元社長ら3人を業務上過失致死傷容疑で書類送検している。
 遺族側は、パロマが故障しやすい欠陥を持つ湯沸かし器を製造した上、販売後に欠陥や不正改造を認識しながら、点検や回収、消費者への告知などの義務を怠ったと主張。また、東京ガスは危険性を知りながら、ガス事業者として調査を怠ったと訴えている。
 パロマ製湯沸かし器の事故を巡っては、札幌、名古屋、大阪の各地裁にも損害賠償請求訴訟が起こされている。
 提訴後に両親は会見し、幸子さんは「浩幸はゲームのプログラマーになる夢がかなわず無念だったろう。誰にも見取られず亡くなったと思うと、パロマが憎い。きょうが浩幸の無念を晴らす第一歩」と涙した。遺影を抱いた正人さんは「パロマは事故情報を分かっていたのに出さなかった経緯を説明してほしい」と訴えた。【北村和巳】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071126-00000017-maip-soci