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2007年11月25日(日) 03時01分

エビ養殖投資会社、「銀行使った送金に失敗」仲介者が証言読売新聞

 エビの養殖事業への投資を巡って詐欺容疑で警視庁の捜索を受けた投資会社「ワールドオーシャンファーム」(東京都台東区)が、米国に4000万ドル(約48億円)を送金していたマネーロンダリング(資金洗浄)疑惑で、同社の黒岩勇会長(58)が栃木県内の郵便局から海外送金する直前、大手銀行を使った送金に失敗していたことが関係者の話でわかった。

 警視庁は、黒岩会長らがチェックの厳しい大手銀行に送金を断られ、多額の送金の取り扱いに慣れていない地方の郵便局を選んだのではないかとみて調べている。

 米国への送金を仲介した東京都内の著述業の男性(59)によると、黒岩会長が今年1月、自分が理事長を務める財団法人「日本奉仕会」の活動資金を捻出(ねんしゅつ)する名目で、男性の知人である在米日本人に資産運用を依頼した際、在米日本人は日本奉仕会名義の国内の大手銀行の通帳を見せられ、黒岩会長から「14億円ある」とアピールされた。

 約2週間後、この在米日本人は「日本の同じ銀行に自分の口座もある。4000万ドルを振り込んでくれれば、米国への送金手続きも請け負う」と助言。黒岩会長も「すぐ手続きする」と応えた。しかし、約30分後、黒岩会長は「問題があって、振り込みできなかった」と伝えてきたという。

 在米日本人はその後も様々な送金方法をアドバイスしたが、結局、黒岩会長は助言を無視。郵便口座を使ったルートで4000万ドルを送金してきたという。

 組織犯罪処罰法は、「疑わしい取引」の通報を金融機関に義務づけている。国内外を問わず、短期間に巨額の資金が送金された場合などは、金融庁(今年4月からは警察庁)への報告が求められている。金融機関には送金自体を拒否する法的な権限はないが、不審な送金などは窓口で受け付けないことが多いという。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071125i101.htm