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2007年11月24日(土) 17時08分

とんこつ「勝算あり」 一蘭と一風堂 来年NY進出 博多ラーメンそのまま 「味は絶対妥協しない」西日本新聞

 博多ラーメンの人気店、一蘭と一風堂が来年、ニューヨークに相次いで出店する。「店のブランド力を高めたい」「日本食のラーメンをこの手で広めたい」。そんな思いが世界の中枢都市への進出につながった。ニューヨーカーたちの舌におもねることなく、博多と同じ「とんこつ味」で真っ向勝負。両店とも「必ず受け入れてもらえる」と自信満々だ。 (ニューヨーク・田端良成)

 日本で22店を展開する一蘭の海外進出は今回が初。米国や中国、タイなどで暮らす日本人などから出店要請があり、現地調査を進めていた。

 出店が具体化したのは今春。吉冨学社長(42)が渡米した際、ニューヨーク市ブルックリン地区で物件を見つけ、開店を決めた。マンハッタン地区に比べ華やかさには欠けるが、吉冨社長は「ラーメン店の立地は陰に隠れているような場所で構いません」と、意に介さない。月に10日はニューヨークに滞在し、スタッフと店づくりに汗を流す。

 新店舗では、日本未発表の「博多極上とんこつラーメン」を出す予定。十数年前から開発を続けてきた秘蔵ラーメンの1つで、客の健康を第一に考えて100%無添加にこだわり、スープ、めんとも絶品に仕上げた。課題は食材の確保。「味は絶対妥協しない」(吉冨社長)と、現地での製造・調達と、日本からの輸送の両面で検討中だ。

 一蘭は現地で試食会を重ね、手応えは十分。まずは日本人駐在員らが主な客層になるが、米国人の味覚に対応した新商品も開発済みという。

 新店舗は来夏までに開店予定だが、吉冨社長は焦りも肩に余分な力も入っておらず、あくまで自然体。「ニューヨーク進出の目的は一蘭ブランドの向上ですが、お客さまに喜んでもらい、社員の自信、励みにもなる。慌てずにじっくりとやります。もちろん勝算はありますよ」

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 一風堂ニューヨーク店は、来年1月の開店を目指して内装工事などが急ピッチで進んでいる。場所は、若者でにぎわうマンハッタン地区のイーストビレッジ。中国・上海で現地企業と合弁のラーメン店を展開したこともあるが、単独での海外出店は今回が初めてだ。

 スープづくりには欠かせない豚ガラ。「アメリカは豚ガラの入手がなかなか難しいけど、浄水から作らなければならなかった中国に比べれば、この国は天国」。一風堂を運営する力の源カンパニーの河原成美社長(54)はそう笑い飛ばす。

 「ニューヨークにはラーメン店が約40あるけど十分戦える」「日本人の手で日本の国民食ラーメンを届けたい」。熱い思いはよどみない。客席は82。メニューにはおなじみの「赤丸」「白丸」などのほか、「替え玉」も加えるという。

 店の壁面には、河原社長と親交がある、全国のラーメン店主が提供する各店のラーメンどんぶりを陳列。「ニューヨーカーでいっぱいになるような店を目指す。最初から大ヒットさせたい」と河原社長は意欲満々だ。

 2店の出店について、北九州市から自治体国際化協会ニューヨーク事務所に派遣されている久保聖子さんは「福岡の企業家の方々にもいい刺激になると思う。ラーメンの味も楽しみ」。福岡市博多区出身でNECアメリカに勤務する山内耕輔さんも「本物のとんこつラーメンに期待したい。米国人にも歓迎されるでしょう」と話している。


=2007/11/24付 西日本新聞夕刊=

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071124-00000026-nnp-l40