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2007年11月24日(土) 07時11分

山田洋行の子会社、3億円高く車両納入 代金水増しか朝日新聞

 防衛庁(当時)が05年、軍需専門商社「山田洋行」の子会社「日本ユ・アイ・シ」(東京都港区)が輸入した生物剤検知装置を積む生物偵察車4台を04年度に計上された予算額より3億3000万円高い、計約15億6000万円で契約、購入していたことがわかった。防衛省は別の装備品代金の過大請求を理由に山田洋行と米国子会社を取引停止処分にしており、生物偵察車についても代金が水増しされた可能性があるとみて、メーカーの英「スミス・ディテクション」社に確認する。

 山田洋行をめぐっては、00年度に契約した海上自衛隊哨戒ヘリコプターの装備品納入で過大請求が表面化したが、処分はなかった。この際、同社元専務の宮崎元伸容疑者(69)=業務上横領容疑などで逮捕=から過剰接待を受けた守屋武昌・前防衛事務次官(63)が当時、防衛局長で装備品調達の担当ではないのに山田洋行側から説明を受け、担当課に電話していたとされる。また、今月22日には別の2件の契約でも過大請求が発覚。防衛省が処分を決めた。

 今回問題となっている生物偵察車は、炭疽(たんそ)菌などを検知する陸上自衛隊の車両。複数の候補からスミス社製の検知装置を積む車両4台を購入することが03年に決まり、04年度予算に約12億3000万円が計上された。

 しかし、この後、当初は英国製の予定だった車両が日本製に変更され、日本ユ・アイ・シは、ソフトウエアの開発分担金の負担や、日本製車両に装置を積むための設計変更などが必要だとして、05年3月、1台あたり8000万円強、計3億3000万円高い計約15億6000万円で随意契約した。同社は「予算見積もりでスミス社に手違いがあった」と説明したという。

 日本ユ・アイ・シはもとは米国企業の海外法人だったが、この予算が計上された後の04年6月、山田洋行の100%出資子会社となり、防衛庁側もこの経緯を把握していた。検知装置はスミス社から山田洋行の欧州子会社を通じて日本ユ・アイ・シが輸入しており、生物偵察車の価格の大部分を検知装置が占めるという。

http://www.asahi.com/national/update/1123/TKY200711230200.html