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2007年11月24日(土) 02時31分

<福田首相>霞が関と協調 就任2カ月「官邸詣で」が2倍超毎日新聞

 福田康夫首相が9月26日に就任して以来、官僚の「首相官邸詣で」が復活している。毎日新聞の集計によると、今月22日までの約2カ月(58日間)で、首相のもとを訪れた各省庁の事務方トップ(事務次官、長官)は、のべ36人。安倍晋三前首相は同じ期間に15人で、予算編成時期であることを割り引いても、その差は歴然としている。ただ、霞が関の官僚機構と意思疎通は順調でも「ねじれ国会」が壁となり実績に結び付かない皮肉な状況となっている。

 「君たちには意欲を持って仕事をしてもらう」。首相は執務室を訪れる官僚にそう声をかけ、「やる気」をくすぐるという。事あるごとに官僚を呼んで説明させ、それを材料に判断する手法は、官房長官時代からだ。

 「政治主導」を掲げた安倍前首相は、官僚機構トップの官房副長官に民間から的場順三氏(旧大蔵省出身)を起用。「閣僚同席でなければ官僚とは会わない」ルールも設け、首相に単独で面会できるのは、側近の谷内正太郎外務次官ら少数だった。トップダウンの印象が強い小泉純一郎元首相(同期間で34人)と比べても、安倍氏の徹底ぶりがうかがえる。

 しかし、これが裏目に出て、官僚の足は官邸から遠のいた。必要な情報が的場氏に上がらず、官邸はしだいに機能不全に陥った。参院選を前に首相が公務員制度改革で官僚との対決姿勢を鮮明にしたことも、あつれきを広げた。福田首相は自治省OBの二橋正弘氏を官房副長官に「再登板」させ、省庁との関係修復に乗り出した。各省庁の官僚に官邸入りを志願させる、前政権が始めた公募制も廃止した。

 ただ、一方では公務員の天下りへの省庁関与を排除する「新人材バンク」具体化などをめぐり、首相が官僚寄りに後退している、との見方もある。細川政権で首相秘書官を務めた成田憲彦駿河台大学長(日本政治論)は「小泉政権も実際には官僚の知恵を利用していた。福田首相も官僚を使っているが、小泉元首相と比べ、国民と直結しているイメージを打ち出せていないのが弱い」と指摘する。【坂口裕彦、石川貴教】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071124-00000008-mai-pol