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2007年11月24日(土) 15時01分

<手製拳銃>暴力団関係者宅から押収 銃刀法逃れか 警視庁毎日新聞

 指定暴力団松葉会系関係者の自宅から、警視庁組織犯罪対策4課が鉄パイプを加工して組み立てた手製の拳銃を押収していたことが分かった。分解して持ち運べば銃だと分かりにくいため、銃刀法違反(所持)での摘発を逃れる狙いがあるとみられる。男は「これから実弾を入手する手はずだった」とも供述している。組対4課は銃の殺傷能力の有無を鑑定するとともに、男が銃を所持していた目的を追及する。

 調べによると、手製拳銃を隠し持っていたのは茨城県に住む20代の男。松葉会系暴力団組事務所に出入りしているという。11月中旬、銃刀法違反容疑で自宅や車の家宅捜索を受けた際に覚せい剤を持っていたとして、覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕された。

 押収された銃は長短1本ずつの鉄パイプ2本を十字に組み合わせて作られていた。銃身にあたる長い方のパイプ(長さ約20センチ)の筒先から実弾1発を入れ、パイプ内に差し込んだ撃鉄代わりのバネで実弾の雷管をはじいて発射させる仕組みだった。2本の鉄パイプに分解できるため、警察官の職務質問を受けたとしても、銃と見破られない可能性があるという。

 警察庁によると、暴力団関係者からの銃の押収量は年々減少し、昨年は10年前の約4分の1の204丁にとどまった。一方で、拳銃を使った凶悪事件は後を絶たず、取り締まりの強化や法改正による厳罰化の動きに合わせて隠ぺいが巧妙化しているとの指摘がある。

 銃器事情に詳しいジャーナリストの津田哲也さん(48)は「暴力団は銃が必要になったときに調達し、使用後は捨てる傾向にある」と指摘。「暴力団関係者にとって真正銃の入手は難しくないはずだ。鉄パイプ銃は命中率が悪いため護身用とは考えにくく、あえて鉄パイプ銃を持つことには他の目的があったのではないか」と話している。【石丸整、鳴海崇】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071124-00000058-mai-soci