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2007年11月23日(金) 11時07分

内職商法詐欺 業者ら暗躍、拠点は仙台河北新報

 「簡単に稼げる」と主婦らを誘い、教材費などをだまし取ったとされる「エムアイシー」(東京都港区)などによる内職商法事件で、ホームページ作成会社社長伊藤徳男被告(39)=仙台市青葉区=らグループ6人が詐欺罪で起訴された。県警の内職商法詐欺の摘発は今回で3件目だが、専門家は仙台市内から全国に電話をかけ、脱法的な営業を続けている内職紹介業者がまだまだ多いと指摘している。
(報道部・山口達也)

<全国の3割50社>
 「被害相談から検証する限り、仙台市で内職商法をしている業者は非常に多い」。悪徳商法対策のホームページ(HP)を運営し、全国から月に100件の相談を受ける行政書士の斎藤聡さん(29)=新潟県胎内市=が指摘する。

 斎藤さんは相談内容などから、悪質とみられる内職商法業者170社をHP上に実名公表しており、その約3割の約50社が仙台市を拠点に営業している。

 このうち1社は、会社HPで「ネットショップを開店しませんか」「運用をサポートします」とうたい、サポート代として約50万円を請求。だが、実際はサポートなどはなく、新手の内職商法の可能性が高いという。

<経験者散らばる>
 県警などによると、この会社の営業マニュアルは、エムアイシー事件の首謀者とみられる伊藤被告の会社から押収された。また、この会社の社長と伊藤被告がかつて同じ経営コンサルタント会社(東京)の仙台支店に勤務していたことも判明している。

 仙台支店時代の2人を知る元同僚(37)は「会社は経営コンサルタントとは名ばかりで、宅地建物取引主任者など国家資格の教材を電話勧誘で販売する資格商法が本業だった」と説明。支店は既に閉鎖されたが、2人が在籍した1990年代前半には約150人の従業員がいたという。

 仙台市に内職商法業者が多いのは、「ここで電話勧誘取引を身に付けた元従業員が次々に独立し、電話勧誘のノウハウを内職商法に活用しだしたためだ」と指摘する。

<首都圏から距離>
 斎藤さんは「首都圏の客を狙う場合、地方に拠点を持つ方が、クレームなどで客が直接乗り込んでくるリスクを減らせる」と説明。「首都圏と適度に距離があるため、悪質業者にとっては仙台が活動しやすい場になっているのではないか」と分析している。

[エムアイシー内職商法事件]県警によると、伊藤徳男被告(39)=仙台市青葉区=が、エムアイシー社長荒井賢一被告(63)=川崎市=ら5人と共謀。「在宅のパソコン入力で月4万円以上稼げる」などとうそを言い、千葉県勝浦市の主婦から教材費名目などで計約50万円をだまし取った。県警は、2004年7月—06年12月で、41都道府県で約200人、計約1億円の被害を確認。被害者は東京28人、愛知14人など。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071123-00000012-khk-l04