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2007年11月23日(金) 10時00分

吉兆グループは崩壊寸前日刊ゲンダイ

 もう、これ以上の迷惑はごめんだ。同じグループとはいえ別の会社組織だし、われわれにはとんだトバッチリ。いい加減にケリをつけるべきじゃないか——。
 吉兆グループ各社の怒りを代弁すると、そんな感じだろうか。次々と発覚する船場吉兆(本社・大阪市)の不祥事。17日には、湯木正徳社長が牛肉産地偽装に関わっていたことが発覚した。社長自らが肉を発注していたのに「仕入れ担当者の判断」としらばっくれていた。吉兆ブランドの信用は完全に失墜だ。
 実際、百貨店などの売り場では「吉兆離れ」が起き始めている。
「歳暮への影響は大きい。うちでは船場吉兆の詰め合わせなどは取り扱い中止にしましたが、本吉兆(本社・大阪市)や東京吉兆など他のグループ会社の商品は販売中です。心配は、お客さまからの批判です。なぜ、これだけ騒がれている吉兆を扱うのかとお叱りを受けるかもしれませんから」(都内の大手百貨店)
 別の百貨店では吉兆ブランドのおせちを販売していたが「吉兆をキャンセルし、別のブランドに変更された人がいます」という。
 もっとも百貨店関係者の本音はこうだ。
「吉兆が売れなくても贈る方は歳暮をやめてしまうわけではありません。だから違う商品が売れるだけ」(某百貨店マン)
 しかし、本吉兆や東京吉兆、京都吉兆、神戸吉兆の各社は深刻極まりない。料理店でのキャンセル、来店客数の減少、贈答品の売れ行き不振……。「ある店の贈答品は半減している」(吉兆グループ関係者)との声も聞く。
 創業者・湯木貞一氏の長男が社長に就く、いわば本家の本吉兆の実情はどうか。
「本吉兆としては船場吉兆による不祥事のような事態は一切確認されておりませんが、お客さまの中には吉兆グループとして船場吉兆と同じ見方をされる方もおり、残念ながら影響が出ていることも否定できません」
 湯木潤治社長が、問い合わせに対し文書で実情をこう吐露した。さらに船場吉兆の湯木社長と、その二男の尚治取締役に何を言いたいかと質問したところ……。
「お客さまからの信頼を裏切ったこととなり、直ちに経営者として適切な対応を選択されることを願っております」との回答だった。
 突き詰めれば「腹を切れ」。辞任を促す言葉とも受け取れる。驚いたことに船場吉兆からの事情説明は、まだ正式にはないという。
 吉兆グループは、親戚一同が経営トップに就く。みな身内だ。その甘えが透けて見えないか。だが、身内同士の争い、憎悪の根は身内の方がより深いといわれる。
 吉兆グループは、崩壊の危機に直面している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071123-00000012-gen-ent