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2007年11月23日(金) 10時00分

売上高11年連続減 百貨店の苦悩と懸念日刊ゲンダイ

 生き残りをかけて統合や合併が進む百貨店業界は、少しでも集客を増やそうとさまざまな策を講じている。お歳暮やクリスマス商戦、バーゲンセールは前倒しが恒例化。そんな中、ついに正月の風物詩である福袋にも“異変”だ。
 三越は今年から福袋の年内引き渡しを始めると発表。ネット上で12月13日の朝までに申し込めば、12月26〜28日の期間に自宅に福袋を届けてくれる。産地直送グルメやアクセサリーのセットなど約80種類の福袋が対象だ。
 昨年、いち早く福袋の年末引き渡しを始めた高島屋は「年末引き渡しの婦人服の福袋は売り上げが前年の4割増と好評でした」という。
 福袋は新春の縁起物という慣例を破り“奇策”ともいえる作戦に打って出る背景には、極めて厳しい状況がある。売上高の落ち込みが止まらないのだ。
 19日、日本百貨店協会が発表した10月の全国百貨店売上高は、既存店ベースで前年同月比1.4%減の6260億円で、2カ月連続で前年実績を下回った。1月から10月までの累計は前年同期比で0.4%減。このままいけば、年間の売上高は11年連続で前年割れになりそうだ。
「サブプライム問題や原油高騰など、経済の先行き不透明感は相変わらず。そのうえ老後の不安や住宅ローンを抱え、消費マインドは冷え込んだままです。百貨店と競合するショッピングセンターが増えたことも大きい。百貨店にとっては厳しい状況が続きます」(流通ジャーナリスト・川上聖二氏)
 懸念材料は尽きない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071123-00000014-gen-ent