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2007年11月23日(金) 01時31分

<下関簡裁>古紙持ち去り罰金刑 ごみ置き場から業者毎日新聞

 ごみを持ち去ったら罪になる?ーー家庭用ごみ集積場から新聞紙などを持ち去ったとして、山口県下関市の廃棄物減量及び適正処理条例違反罪に問われた、福岡県宗像市の古紙回収業、全国弘被告(52)に対する判決が22日、下関簡裁であり、石川満裁判官は求刑通り罰金10万円を言い渡した。同種の事件は、有罪、無罪の判断が分かれており、論議を呼びそうだ。被告側は控訴する方針。

 判決によると、全被告は06年5月31日午前11時20分ごろ、下関市綾羅木本町のごみ集積場で、家庭用一般廃棄物として出された新聞などの古紙約35キロを勝手に収集した。

 被告は市から家庭用一般廃棄物の収集、運搬の委託を受けておらず、5月31日までに市から古紙持ち去り行為について2回にわたり禁止命令を受けていた。このため、市が全被告を告訴。被告は警察に逮捕、起訴された。

 裁判では、廃棄物処理法にない罰則規定を自治体が条例に設けたことが、憲法や同法に抵触するかが争点となった。被告側は「他の自治体で制限されない行為を犯罪とされ、法の下の平等に反する」などと訴えていた。

 石川裁判官は「資源ごみの分別収集制度を維持する手段として必要性が認められる」「古紙回収業者の営業の自由を全面的に制約するものではなく、その生命権や生存権を奪うものではない」と述べ、自治体の裁量権を逸脱していないとした。

 ◇全国で分かれる判断

 全国の自治体では、ごみ集積場からの資源ごみ持ち去りを防ぐため、条例改正で罰則規定を設ける動きが広がっている。

 刑事裁判で争われた例としては、東京都世田谷区の条例に違反したとして業者13人が刑事告発され、罰金10万円の略式命令を受け入れた1人を除く12人が起訴されたケースがある。1審判決は東京簡裁で今年5月までに出そろい、3人の裁判官が7人に無罪、2人の裁判官が5人に有罪を言い渡し、判断が分かれた。【新里啓一】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071123-00000004-mai-soci