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2007年11月22日(木) 03時03分

エビ養殖で詐取48億円、米に送金…FBIが口座凍結読売新聞

 フィリピンでのエビの養殖に投資すると偽って約4万人から約600億円を集めたとして、警視庁の捜索を受けた投資会社「ワールドオーシャンファーム」(東京都台東区)が今年2月、国内の郵便口座から米国内の口座に4000万ドル(約48億円)を一度に送金していたことがわかった。

 米連邦捜査局(FBI)は「犯罪関与資金の疑い」で米国の口座を凍結。警視庁は国際的マネーロンダリング(資金洗浄)容疑で捜査している。大型詐欺事件の被害金の流出先が確認されたのは極めて異例。昨年12月には、国が没収した犯罪収益を被害者に分配する法律が施行されており、被害者救済の道が開く可能性もある。

 警視庁やFBIの調べによると、不正送金の窓口になったのは、同社が2001年の設立当時に本社を置いていた栃木県小山市内の郵便局。今年2月中旬、同郵便局にある同社の口座から4000万ドルが米カリフォルニア州にある会計事務所のドイツ系銀行の口座に送金され、さらに翌日、同州在住の日本人名義の米大手銀行の口座に移された。

 約2か月後の4月、この資金移動を察知したFBIは、同社の黒岩勇会長(58)らを米国に呼び出して事情聴取を実施。黒岩会長は、財団法人「日本奉仕会」(江東区)の理事長を名乗って、「財団の資産運用のため、米国在住の日本人に利殖を依頼した」などと弁明したが、送金元の日本の郵便口座が、ワールドオーシャンファーム名義であるなど不審点が多かったことから、FBIは、4000万ドルが入金された口座を凍結した。

 日本奉仕会は資金難で2年ほど前から事実上、活動を休止。昨年6月、黒岩会長が理事長に就任していた。

 警視庁は7月末、詐欺容疑で同社や日本奉仕会の事務所を捜索しており、休眠状態にある財団法人の資産運用を装って、海外に資金を隠匿しようとした組織犯罪処罰法違反の容疑などでも追及する。ワールドオーシャンファームは5月末に経営破たんを宣言して本社を閉鎖。その後、黒岩会長ら同社幹部は所在不明で、警視庁で行方を追っている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071122it01.htm