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2007年11月22日(木) 12時18分

ヤフー、携帯の壁 「ガリバー」も課題山積朝日新聞

 日本最大のポータルサイトを運営するヤフーが株式を上場してから、今年で10年。「ネットユーザーの9割が使う」とされるまでに成長しました。ただ、ネットを取り巻く環境は急速に変化しています。出遅れた携帯電話向けサイトへの対応など、ネット界の「ガリバー」も課題は山積です。

 ヤフーが10月24日に発表した07年9月中間連結決算は増収増益。ところが、翌日の株式市場ではヤフーの株価は1割近くも下落し、その後も回復していない。

 「今後拡大する携帯電話向けサービスで成長戦略が見えにくい」。いちよし経済研究所の納博司・企業調査部長はヤフー株低迷の理由を、こう分析する。パソコンから携帯へ、というネット界の潮流に乗り遅れかねない、という指摘だ。

 ヤフーが00年に始めた携帯ポータル「ヤフー・ジャパン」の1日の閲覧数は1億程度。パソコン上のサイトの閲覧数の1割程度に過ぎない。

 一方、ディー・エヌ・エーが運営する携帯サイト「モバゲータウン」はスタートから2年足らずで、1日の閲覧数が4億を超えた。利用者参加型のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やゲームを主力とするモバゲータウンの方が、検索のイメージが色濃いヤフーよりも、携帯サイトでは多くの利用者を集めている。

 ヤフーが得意とするパソコンでのサイトでも、SNSのミクシィや動画投稿のユーチューブといった新興勢力の台頭が著しく、個々のサービス分野では後れを取る例も少なくない。ネット界のガリバーも安閑とはしていられない。

 ヤフーがサイトを設けたのは96年4月。「ウィンドウズ95」の発売をきっかけに増えたネット利用者を、いち早く取り込んだ。親会社のソフトバンクとともに提供した高速大容量通信サービス「ヤフーBB」のヒットも認知度を高めた。

 99年にはネットオークションをスタート。検索以外にも様々なサービスを提供し、ネット利用者を自社のサイトに誘導してきた。

 提供するサービスの数は、今では100を超える。検索ではグーグルを引き離し、オークションではライバルが見当たらない。ショッピングの取扱高でも、トップの楽天を激しく追い上げる。

 ヤフーの07年3月期の連結売上高は2125億円で、10年前の500倍に拡大した。売上高の多くは、サイトに掲載される広告料とオークションの手数料。利用者数の多さが広告媒体としてのヤフーの価値を高め、新サービスでさらに利用者を集めてきた。

 パソコンだけでなく、携帯電話やテレビ経由のネット接続も増えるとみられるなかで、強さの源泉である集客力を維持できるか。次の一手に注目が集まる。

http://www.asahi.com/business/update/1122/TKY200711220024.html