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2007年11月22日(木) 00時00分

シーテックに20か国から895社が出展読売新聞


鮮やかな映像を実現した11V型有機ELテレビ
超薄型テレビに「有機EL」登場 液晶、プラズマにライバル出現

 アジア最大のデジタル家電・情報通信機器展示会「CEATEC JAPAN 2007」が10月初旬、千葉・幕張メッセで開かれた。「見える、感じる、デジタルコンバージェンス最前線。」というテーマそのまま、近未来の超薄型テレビを巡る各メーカーのせめぎ合いは、映像文化の新時代を感じさせた。

 中でも一番の注目を集めていたのが、ソニーの有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)テレビ「XEL—1」。画面サイズは11V型と小型ながら、厚さはたったの約3ミリと、液晶と比べても圧倒的に薄い。画質も素晴らしく、鮮明度を表すコントラスト比が現行の液晶で2000対1なのに対し、100万対1以上という超高数値。群を抜く鮮やかで忠実な色を再現、液晶とは異次元ともいえる映像美を瞬時に感じさせる。


横から見た有機ELテレビ。極薄の3ミリは、単に「板」のようにしか見えない

「有機EL」とは、液晶、プラズマに続くディスプレー技術で、パネルに有機素材を用いることで、画像素子が自ら光を放つ自発光を実現したもの。液晶では必要なバックライトが不要となり、液晶では不可能だった薄さを実現した。消費電力や応答速度にも優れ、キヤノンと東芝の自発光型ディスプレー「SED」とともに、次世代の薄型ディスプレーといわれている。

 液晶ではシャープ、プラズマでは松下電器産業の後塵を拝したソニーだが、この有機ELテレビで勝負に出る。課題は価格だ。11V型で20万円と、液晶に比べて非常に高価だ。

薄さと画像の鮮明度の勝負

シャープは厚さ20ミリの52V型薄型液晶を前面に打ち出した

 今回、日立製作所が32V型で厚さ19ミリの液晶テレビを展示し、さらに超薄型プラズマテレビの製品化も発表するなど、超薄型ディスプレーの技術開発は!)恊!)国時代!)揩フ様相を呈してきた。シャープは、次世代の薄型ディスプレーも「液晶」が主流とし、数年後の商品化を見据えた52V型のコンセプトモデルを展示。コントラスト比は1万対1、厚さは20ミリと、次世代にふさわしい魅力的なスペックだ。

 日本ビクターも厚さ20ミリの液晶テレビを展示したほか、液晶の弱点である残像を軽減する技術「倍速駆動」をさらに発展した「3倍速駆動」や、バックライトにLEDを搭載、コントラスト比10万対1、消費電力を50%削減した試作機を打ち出した。

 今回のシーテックは、映像の世界では今やハイビジョンは当たり前で、企業間競争の舞台は、さらなる画質や機能性の向上に移行した、という事実を示した。併せて、ブルーレイやHD DVDといった「次世代DVD」と呼ばれていた機器も、着実に身近な存在になってきそうだ。いずれにしても、高品質の画像を安価で楽しめる技術は、ユーザーにとって大歓迎だ。(編集部・山野徹/2007年10月24日発売「YOMIURI PC」2007年12月号から)

http://www.yomiuri.co.jp/net/frompc/20071120nt0f.htm