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2007年11月22日(木) 15時32分

【鈴香被告公判ライブ(5)】「取り調べメモは退官したので処分した」捜査員証言産経新聞

 休廷をはさみ、午後1時15分、公判は再開された。鈴香被告はうつむいたまま入廷、一礼することなく淡々と席に着いた。秋田県警捜査1課の元捜査員に対する弁護側の尋問が始まり、まずは、証人が過去に経験した否認事件捜査の数が問いただされた。

 弁護側「否認事件に携わった回数は?」
 証人「そんなに多くない」
 弁護側「10回以内か?」
 証人「ほとんどない」

 ここで検察側は、否認事件にも最初から一貫して否認するケースや、途中から自供するケースなどさまざまなパターンがあるなどと、「横やり」を入れた。

 弁護側「(鈴香被告のような)否認事件は多くないのか?」
 証人「逮捕段階で否認しても、拘留期間内に自供するのがほとんど。(拘留中に)裏づけ捜査も進む」

 続いて、弁護側は証人が恫喝(どうかつ)や誘導尋問など違法な取り調べを禁じる規定について証人に確認した。その後、定年退官した証人に対し、この事件でどのような捜査をしたのかや、記憶の正確さをただす。

 弁護側「彩香ちゃん失踪(しっそう)後、数日間捜査したというが内容は?」
 証人「不審者の捜査や(鈴香被告の住んでいた)団地周辺の聞き込み。豪憲君の事件後は鈴香被告の身辺捜査」
 弁護側「どんな?」
 証人「交友者や元夫など」
 弁護側「あなたは任意同行の直前に担当になった。任意同行の日は決まっていたのか?」
 証人「いいえ。その段階では(決まっていない)。(昨年)6月1日に担当になり、6月4日に任意同行。私が担当になるだろうという思いはあったし、上司にもそう言われた」

 弁護側はさらに攻める。

 弁護側「上司の○○警部補(実名)はどんな指示をしたのか?」
 証人「(鈴香被告の)体調や任意性の確保などについて」
 弁護側「(出廷にあたり)事件の書類は見たのか?」
 証人「はい」
 弁護側「あなたは取り調べのメモは取っていたのか?」
 証人「取っていたが、3月に定年退職したので書類は処分した」
 弁護側「メモは読まないで出廷しているのか?」
 証人「そうです」
 弁護側「今回の事件は証人となると予想できるはずだが?」
 証人「いいえ。その当時は…」
 弁護側「今回の証言は記憶だけに基づいているものか?」
 証人「上司に連絡して、本件の調書を見た」

 この後、弁護側が取調室の広さや机の位置などを細かく問うと、検察官は失笑を漏らした。続けて、弁護側は取り調べのあり方を聞く。

=つづく=

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