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2007年11月21日(水) 07時49分

かんぽ、発送遅れ890万件 年末調整用の保険料証明書朝日新聞

 日本郵政グループのかんぽ生命保険で、年末調整に向けて例年10月末までに契約者に送る保険料払い込み証明書の発送が最大で10日近く遅れていたことがわかった。遅れは全契約数の約15%にあたる890万件にのぼり、同社には1万件を超える苦情が寄せられているという。データ処理段階で大量のミスが発覚し、作業がずれ込んだことが原因といい、同社の担当者は「実害はないはずだが、年末調整の提出期限の後に到着した可能性もあり、心配をかけて申し訳ない」としている。

 発送が遅れたのはすべての保険の契約数6000万件のうち、保険の種類にかかわらず9月28日に指定口座から保険料を引き落とされた契約者。口座払い込みによる契約件数(2630万件)では3分の1にあたる。

 このうち西日本(富山、岐阜、静岡各県以西)の契約420万件については発送がすべて11月9日にずれ込み、東日本470万件の発送は同2〜7日になった。

 かんぽ生命保険によると10月1日、東日本と西日本に1カ所ずつある情報管理センターのコンピューターで証明書を作るためのデータ編集を始めた。この際に基になったのは9月末時点の契約者データ。だが、このデータでは890万件が「保険料未納」の扱いになっていたという。引き落としされた9月28日は金曜日で、そのデータが各金融機関から送られてきたのは10月1日だったため、9月末時点では「未納」とされてしまったという。

 これが発覚したのは10月9日。編集を終えたデータを確かめたところ、保険料の未納などですぐに証明書を送れない契約者数が、例年の4倍に増えていたことがきっかけだった。同社は890万件について改めてデータを作り直したため、10月末までに発送を終えることができなかったという。

 同社には11月1〜15日、主に「証明書がまだ着かない」など証明書に関する苦情が、全苦情のほぼ3分の2の1万件強寄せられた。担当者は「到着していなくても、要請があれば郵便局で発行することはできる。年末調整の提出期限に間に合わなくても通常、後から証明書を提出することは可能で、実害はなかったはず」としている。

 同社は民営化直前の今年6〜7月ごろに証明書の発送手順を決めたが、その段階では9月28日の引き落とし通知が10月1日にずれ込むと想定していなかったという。証明書発行のシステムは従来と同じものを使っていることなどから、「今回の発送遅れは民営化とは関係ない」としている。

http://www.asahi.com/national/update/1120/TKY200711200403.html