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2007年11月20日(火) 21時49分

「踏み字」元警部補、22日初公判 実態究明が焦点に朝日新聞

 03年鹿児島県議選をめぐる選挙違反事件の関連捜査で、任意聴取の相手に「踏み字」を強要したとして、特別公務員暴行陵虐罪に問われている同県警の元警部補、浜田隆広被告(45)の初公判が福岡地裁で22日にある。起訴状では、踏み字の回数は「1回」。先行した国賠訴訟判決が認定した「3回以上」にも及ばない。取り調べの実態をどこまで明らかにできるかが公判の焦点となる。

 起訴状によると、浜田元警部補は03年4月、志布志署の取調室で、同県志布志市のホテル経営・川畑幸夫さん(62)を任意聴取した際、両足首をつかみ「早く正直なじいちゃんになって」などと書いた紙3枚を1回踏ませるなどしたとされる。

 川畑さんは投票依頼のため建設業者にビールを配った疑いをかけられていたが、結局、逮捕も起訴もされなかった。

 川畑さんが県に200万円の賠償を求めた国賠訴訟(鹿児島地裁)で、川畑さんは「10回以上、無理やり踏まされた」と主張。判決も「少なくとも3回」と認定し、60万円の賠償が認められた。

 しかし、元警部補はこの裁判で「取り調べに応じてもらえるよう人間性に問いかけるためにやった」「靴先を(紙に)置いた程度。強くは置いていない」とし、回数は「1回だけ」と主張した。一緒に聴取を担当した当時の巡査部長(39)も同じ内容を証言した。

 川畑さんが元警部補を刑事告訴したのは「浜田被告はうそをついている」との思いからだ。が、今回の起訴事実は、国賠訴訟で元警部補が認めた「1回」にとどまり、判決が認定した「3回以上」にも及ばない。

 川畑さんの代理人の野平康博弁護士は「ことを大きくせずに検察としての体裁を保ったのが、今回の起訴。真実が明らかにならずに公判が終わるようなら、浜田被告を偽証罪で告訴、告発することも検討しないといけない」としている。

http://www.asahi.com/national/update/1120/SEB200711200030.html