記事登録
2007年11月19日(月) 00時00分

自衛隊受験者のデータ、ネット流出…731人分読売新聞

 自衛官採用の1次試験合格者731人分の個人データのリストがインターネット上に流出し、約1か月半、誰でも閲覧できるようになっていたことが分かった。

 リストは自衛官の採用活動を行う自衛隊神奈川地方協力本部(横浜市)が作成したもので、氏名や住所、携帯電話番号、学歴などが書かれ、出身高校のランクも付けられていた。防衛省も事実を把握しており、調査している。

携帯番号、高校ランクも

 閲覧可能になっていたのは、昨年9月に実施された、自衛官になるための1次試験の合格者リスト。受験番号や氏名、性別、生年月日、住所のほか、携帯電話番号や親の氏名などが書かれている。出身高校名や、その横に市販の高校受験情報書籍をもとに高校を格付けしたランクも記載されていた。陸上、海上、航空の要員ごとに分けられ、勧誘活動を担当したとみられる自衛官名も書いてあった。

 神奈川地方協力本部によると、リストは、神奈川県内の入隊希望者について、同本部が表計算ソフトで作成した内部資料。今年9月に実施した1次試験の合格者の受験番号を、同本部のホームページで10月1日に公表した際、誤って一緒に公開したらしい。

 その後、ホームページは更新され、リストを閲覧できなくなっていたが、ネットで検索すると、閲覧可能なページに接続できる状態が続いていた。今月16日夕、リストに掲載された受験者の家族から指摘があり、同本部が削除した。

 同本部は「可能な限り早く、情報が漏れた方に連絡し、謝罪したい。今後、このようなことがないよう対策を考えたい」としている。

 リストに掲載された受験者の家族は、お粗末な情報管理にあきれた様子だ。

 同本部に情報流出を指摘した男性は、「これほど詳細な個人情報がネットで見られる状態は、受験者にとって非常に困るし、問題だ。事態の深刻さをしっかり認識してほしい」と批判。受験したが民間企業に入社したという男性の父親は、「自分も自衛官だったが、けしからんことで、気が緩んでいる。大量のダイレクトメールが来たら困るし、何に使われるか分からない。防衛省も疑惑だらけで、OBとして恥ずかしい」と憤っていた。

 防衛省・自衛隊の情報管理を巡っては、昨年2月、海上自衛隊の護衛艦「あさゆき」の秘密情報が、隊員の私有パソコンからファイル交換ソフトを通じてネット上に流出するなど、情報流出が相次いで発覚した。

 同4月には抜本的対策として、私有パソコンでの業務用データの取り扱いや私有パソコンの職場への持ち込みを禁止。その後、隊員の自宅を訪問して私有パソコンに業務用データが保存されていないかどうかをチェックするなどの対策を取ったが、流出が続いている。

http://www.yomiuri.co.jp/net/security/ryusyutsu/20071119nt04.htm